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MATT BIANCO

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


正式にマーク・ライリーのソロ・ユニットになったマット・ビアンコが最新作『グラヴィティ―』を携えて公演中です。このアルバムのコンセプトは"ジャズ"。「Invisible」、「Gravity」、「Joyride」など収録曲をたっぷり届けてくれましたが、ハード・バップというかファンキー・ジャズというかホレス・シルヴァー、キャノンボール・アダレイ、ソニー・ロリンズらが残した1950~60年代の楽曲からスタイリッシュなところを抜き出してアク抜きしたサウンドに、軽やかでスモーキーなライリーのヴォーカルが乗っている・・・・そんな印象を受けました。

ジェフ・ガスコインは全曲でアコースティック・ベースを演奏し、トランペットのマーティン・ショウはプランジャー・ミュート(デューク・エリントン・オーケストラが使用したことで有名になった道具です)も使って渋くノスタルジックなソロを演じました。アルバムでも大きくフィーチャーされていたテナー・サックスのデイヴ・オ・ヒギンズはこのライヴでも大活躍。そうなるとピアノはアコースティック主体になりそうなものですが、グレアム・ハーヴィーはフェンダー・ローズ中心にプレイし、バンド・サウンドを一層華やかにします。彼は'97年までインコグニートに在籍し、この2月にはステイシー・ケントのバックで「ブルーノート東京」に登場しました。彼の流麗な指さばきを味わうため、このライヴに訪れたファンも多いのではないでしょうか。

新作からのジャジーなナンバーに混じっては、マット・ビアンコ・サウンドの特色のひとつであるラテン色の濃いナンバーもたっぷり披露。グループ発足当時からの人気曲「Whose Side Are You on?」、「Yeh Yeh」ではオーディエンスを大いに踊らせました。そしてバック・シンガーのエリザベス・トロイは、メロウな「Heart in Chains」でライリーとメイン・ヴォーカルを分け合い、力強く伸びやかな声で実力者ぶりを示します。彼女は'90年代にソロ・デビューし、「Hold On to Me」などいくつものヒット曲を持っているベテランです。

オーラスの「Get Out of Your Lazy Bed」は、昨年12月に他界した"相方"のマーク・フィッシャーに捧げられました。彼の美しいキーボード演奏がもうナマで聴けないのは本当に残念なことですが、ライリーはソロ・ユニットとしてマット・ビアンコを前進させることを決意しました。その決意、意欲がほとばしるステージは27日まで続きます。
(原田 2017 8.26)


Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2017 8.25 FRI.
1st & 2nd
1. INVISIBLE
2. GRAVITY
3. JOYRIDE
4. WHOSE SIDE ARE YOU ON?
5. PARADISE
6. HEART IN CHAINS
7. MORE THAN I CAN BEAR
8. SOLACE
9. HALF A MINUTE
10. BEFORE IT’S TOO LATE
11. SUMMER IN THE CITY
12. YEH YEH
EC. GET OUT OF YOUR LAZY BED

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