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ARTURO SANDOVAL

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


10度のグラミー賞に輝く重鎮、アルトゥーロ・サンドヴァルが昨日から熱演を繰り広げています。気鋭ミュージシャンとの、大迫力のセッションです。

サンドヴァルといえばもちろん、信じがたいほどの超絶トランペット・プレイが持ち味です。今回もスーザフォンのような重低音から、脳天を直撃するような超ハイノートまで、「トランペットの音域」(だいたい2オクターブ半なのだそうです)を超えているに違いない吹奏を聴かせてくれました。キューバ出身の彼は、伝説のグループ"イラケレ"で活動後、アメリカ出身の名トランペット奏者ディジー・ガレスピー(ことし、生誕100年を迎えます)に認められてソロ・アーティストとして広く知られるようになりましたが、絶頂期のディジーでも、ここまで信じがたいほど広い音域は吹いていなかったように思います。この日のラストに演奏された"恩師"の定番「A Night in Tunisia」では、いまにも天井を吹き飛ばしそうなハイノートが炸裂しました。

いっぽうで彼のロマンティックな一面も、このライヴではしっかり味わうことができました。『My Passion for the Piano』というピアノ・アルバム(トランペットは演奏していない)を残しているほど、サンドヴァルは優れたピアニストでもあるのですが、この日も入魂のバラード・プレイを鍵盤から紡ぎ出しました。そしてもう一つの大きな聴きものが、渋い歌声です。この日、とりあげたのはナット・キング・コールが名唱を残した「When I Fall in Love」。客席を歩きながら、しっとりと歌う姿も絵になります。

バックのミュージシャンも腕達者ばかりです。ぼくはとくに、ティキ・パシーリャスのマラカス・ソロに驚きました。カラオケや何かで一度でもマラカスに触れた方であれば、この楽器で音を歯切れよく切ることがいかに難しいか、おわかりであろうと思います。しかしティキは縦横無尽にマラカスをあやつり、実にメロディアスに音を出してゆくのです。

公演は9月6日まで開催されます。また10月22日からは、イラケレの演奏仲間だったチューチョ・ヴァルデスがゴンサロ・ルバルカバとのデュオで「ブルーノート東京」に登場します。キューバのグルーヴを、ぜひライヴでご体感ください!
(原田 2017 9.5)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2017 9.4 MON.
1st
1. BLUES IN B FLAT
2. CHEROKEE ~ FUNK JAM
3. WHEN I FALL IN LOVE
4. KONICHIWA
5. SUREÑA
EC. A NIGHT IN TUNISIA
 
2nd
1. ALMOST LIKE BEING IN LOVE
2. THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
3. DEAR DIZ, EVERY DAY I THINK OF YOU
4. EL MANISERO ~ PEANUT VENDOR
5. SMOKE GETS IN YOUR EYES
6. SEVEN STEPS TO HEAVEN
7. SMILE
8. A NIGHT IN TUNISIA

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