2017 9.18 mon., 9.19 tue.
ROBERTO FONSECA
artist ROBERTO FONSECA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
かつてマッコイ・タイナーやキース・ジャレットが名盤を残した老舗レーベル"インパルス"に移籍。最新作『ABUC』も好評のロベルト・フォンセカが、入魂のステージを繰り広げています。ここ数年の公演にあった、ピアノの音色をコンピューターで加工する場面はなく、アコースティック・ピアノの力強い音色がダイレクトに届くのも今回のライヴの大きな魅力です。
共演メンバーは、彼の来日には毎回といっていいほど同行しているヤンディ・マルティネス(エレクトリック&アコースティック・ベース)とラムセス・ロドリゲス(ドラムス、ティンバレス)のふたりと、元イラケレの打楽器奏者でアロルド・ロペス=ヌッサともレコーディングを残しているアデル・ゴンサレス。オープニングの「Consumatum Est」は、ロベルトの無伴奏ソロから始まります。ピアノの内部奏法(弦をひっかく)を導入しながら幻想的な世界を描いた後、ここしかないというタイミングで3人が加わり、「超絶」という言葉がぴったりのアンサンブルへと移ります。そして「Abakua」ではラムセスとアデルの掛け合い、名曲「Besame Mucho」ではヤンディの弓弾きがフィーチャーされました。メンバー全員の長所を引き出しながら、多彩なプログラムで楽しませてくれるのです。
新作からのナンバーでは、「Cubano Chant」が強く印象に残りました。これは1950年代前半に、アメリカのジャズ・ピアニストであるレイ・ブライアントが書いたナンバーです。本人のほかにも、アート・ブレイキーやカル・ジェイダー等のレコーディングが残っています。ロベルトはこの曲にロマンティックな導入部を加えて、まるで組曲のように聴かせてくれました。ブライアント版とはまったく異なるコード進行で熱いアドリブを展開、終結部に高音から低音にかけて風が吹き抜けるようなグリッサンドを入れ、そこからベースとのユニゾン・パートに入っていくあたり、鳥肌が立つほどのスリルです。ブライアントが60数年前に(おそらく行ったことのない)"キューバ"を思い描いて書いた曲を、キューバ人であるロベルトがアップ・トゥ・デイトなアレンジで2017年の日本の観客に送り届ける...その風景はぼくにとって、たまらなく壮大でした。そしてラストは、やはり新作からの「Afro Mambo」。ロベルトはピアノを左手、キーボードを右手で演奏し、さらにヤンディと一緒にスキャットを繰り広げます。後半はオーディエンスと一緒に、"アフロ・マンボ"というフレーズの大合唱。スタンディング・オベイションの中、4人の凄腕たちは笑顔でステージを去りました。公演は本日まで行なわれます。
(原田 2017 9.19)
Photo by Tsuneo Koga
2017 9.18 MON.
1st | |
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1. | CONSUMATUM EST (OYA) |
2. | SAGRADO CORAZÓN |
3. | ABAKUA |
4. | BESAME MUCHO |
5. | CUBANO CHANT |
6. | AFRO MAMBO |
2nd | |
1. | CONSUMATUM EST (OYA) |
2. | SAGRADO CORAZÓN |
3. | ABAKUA |
4. | BESAME MUCHO |
5. | CUBANO CHANT |
6. | HOME SWEET HOME |
7. | AFRO MAMBO |
EC. | ASERE MONINA BONCO |