LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


ROY HARGROVE'S RH FACTOR

artist BOBBY SPARKS , ROY HARGROVE

VIDEO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ジャズ・ファンクの風が、ブルーノート東京に吹いています。人気トランペット奏者、ロイ・ハーグローヴ率いる"RHファクター"の登場です。

ステージにあがったロイが音合わせも兼ねてパラパラ吹き始めるやいなや、さっそく「Rich Man's Welfare」が始まります。RHファクター流アフロビートといえばいいのでしょうか、リズム・セクションが絶妙にからみあい、ロイ、アルト・サックス&フルートのブルース・ウィリアムス、テナー・サックスのキース・アンダーソンが分厚いアンサンブルを聴かせます。キーボードは3人いて、レネー・ヌーヴィルはカーツウェルのシンセサイザー、ロイの実弟ブライアン・ハーグローヴはヤマハのシンセサイザーを使い、最近来日の機会がどんどん増えているボビー・スパークスはハモンドB3、フェンダー・ローズ、ホーナー・クラヴィネットなどヴィンテージ機器を中心にプレイします。三者が奏でるキーボードの音の重なりもまた、このライヴの大きな聴きどころのひとつでした。彼らは決して白玉音符で空間を埋めるようなことはしません。あくまでもリズミカルに鍵盤楽器を操るのです。

ロイは3月に行なわれたモダン・ジャズ形式による来日公演と同様、好調を維持。ときにエフェクターを踏み込んだり、ミュートをつけたりしながら、フリューゲルホーンに持ち替えることなくトランペット一本でステージを通しました。後半はレネーのリード・ヴォーカル曲が続きましたが、そこに絡む吹奏もまた色っぽく、「I'll Stay」等ではバック・ヴォーカルの一員としてもいい味を出していました。

あと、個人的に嬉しかったのは、重鎮ベーシスト、レジー・ワシントンがメンバーに参加していたことです。RHファクターの『Hard Groove』等でも弾いていますが、それ以前からスティーヴ・コールマン&ファイヴ・エレメンツ、ジャン・ポール・ブレリー、カサンドラ・ウィルソン、ドン・バイロンなど錚々たる面々のサポートを務めてきたベテラン。分厚いトーンで4弦エレクトリック・ベースを鳴らす名手です。この日は「You Are My Sunshine」をソロで聴かせてくれました。奇しくもロン・カーターが最近、この曲をよくソロで演奏しています。ベーシストの意欲に訴える何かがあるのでしょうか。

ラストはハービー・ハンコック作「Actual Proof」。今月上旬に来日したハーヴィー・メイソンの"カメレオン・バンド"もこの曲を演奏していたので、個人的には非常に興味深く聴き比べました。ロイは冒頭からエフェクターをかけてトランペットを吹き、後半ではジェイソン・JT・トーマスのドラム・ソロが炸裂します。各プレイヤーの魅力をフィーチャーしながらの約80分間。終演後、猛烈な拍手と歓声が起こったのはいうまでもありません。
(原田 2017 9.28)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2017 9.27 WED.
1st
1. RICH MAN’S WELFARE
2. PASTOR "T"
3. THE JOINT
4. STRENGTH
5. CAN’T STOP
6. QUIET / DECEMBER
7. JUICY
8. FORGET REGRET
9. CRAZY RACE
10. ON THE ONE
11. YOU ARE MY SUNSHINE
12. COMMON FREE STYLE
13. I’LL STAY
14. HOLD ON
15. ACTUAL PROOF
16. LOVE IS THE ONLY WAY
 
2nd
1. RICH MAN’S WELFARE
2. PASTOR "T"
3. THE JOINT
4. STRENGTH
5. CAN’T STOP
6. QUIET / DECEMBER
7. JUICY
8. FORGET REGRET
9. CRAZY RACE
10. ON THE ONE
11. YOU ARE MY SUNSHINE
12. COMMON FREE STYLE
13. I’LL STAY
14. HOW I KNOW
15. ACTUAL PROOF
EC. HOLD ON

INDEX