2017 9.30 sat., 10.2 mon., 10.3 tue.
AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
このメンバーで活動を始めて9年。矢野顕子、ウィル・リー、クリス・パーカーの黄金トリオが今年も超満員のオーディエンスを熱狂させました。
レパートリーの多さ、守備範囲の広さが尋常ではない3人ですが、ぼくが見た初日のファースト・セットは、沖縄民謡「ちんさぐの花」から始まりました。ウィルがアタックを抑えた"ヴァイオリン奏法"を駆使し、矢野顕子はビートの中を泳ぐようにメロディを紡ぎます。続いては11月29日リリースの新作『Soft Landing』からタイトル曲をいち早く披露。アルバムは7年ぶりの弾き語り作品になりますが、この日はもちろんトリオで密度の濃いパフォーマンスを届けてくれました。ブラッシュを用いたクリスのドラム・プレイは繊細そのもの。こういうリズムで歌えるのは天にも昇る気持ちではなかろうか、と思います。
しっとりした演奏とアグレッシヴな演奏の"差"も、このトリオの魅力です。「Godzilla vs Mothra」は伊福部昭の「ゴジラ」とザ・ピーナッツが歌った「モスラの歌」のマッシュアップといえる楽曲。サウンド・エフェクトも用いながら、三つ巴の熱演が繰り広げられます。矢野顕子いわく「ゴジラとモスラだけではなく、キングギドラも想定した」とのこと。ウィルはエフェクターを駆使し、へヴィ・メタルのギタリストのような音で観客を熱狂させました。
彼はまた、卓越したシンガーでもあります。ダニー・ハサウェイの名曲「Someday We'll All Be Free」では矢野顕子とヴォーカル・パートを分け合い、"明るい日々はもうすぐやってくるよ。いつかみんな自由になれるさ。胸を張って前を向いて歩き続けよう"と熱唱。レッド・ツェッペリンの有名曲のカヴァー「Whole Lotta Love」も、ウィルのリクエストだそうです。この曲をギターなしのバンド、女性ヴォーカルで歌うという発想が、まず痛快です。換骨奪胎といえばいいのでしょうか、矢野顕子のアレンジャーとしての能力に改めて感服させられます。
ウィルがMCパートで「ゴジラとレッド・ツェッペリンをジャズ・クラブで演奏するなんて、こんなユニークなバンドはほかにいないよ」というようなことを話していましたが、まったく同感です。しかもそのユニークさ、演奏のすごみ、テレパシーのような呼応には、ますます磨きがかかっているのです。公演のために特別に用意したオリジナル・ドリンクも大好評。ライヴをご覧になられた多くの方々は、このトリオのパフォーマンスを今年も多いに満喫したことでしょう。
(原田 2017 10.4)
Photo by Makoto Ebi
2017 9.30 SAT.
1st | |
---|---|
1. | ちんさぐの花 |
2. | Soft Landing |
3. | Welcome to Jupiter |
4. | Godzilla vs Mothra |
5. | Someday We’ll All Be Free |
6. | All The Bones Are White |
7. | Whole Lotta Love |
8. | ラーメンたべたい |
EC. | Rose Garden |
2nd | |
1. | ちんさぐの花 |
2. | Soft Landing |
3. | Welcome to Jupiter |
4. | Godzilla vs Mothra |
5. | Someday We’ll All Be Free |
6. | All The Bones Are White |
7. | Whole Lotta Love |
8. | ラーメンたべたい |
EC1. | Rose Garden |
EC2. | ひとつだけ |