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DAVID SANBORN NEW QUINTET featuring WYCLIFFE GORDON, BEN WILLIAMS, ANDY EZRIN & BILLY KILSON

artist DAVID SANBORN , WYCLIFFE GORDON

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


12月5日にBLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIROと共演し、圧倒的なパフォーマンスで満場を沸かせたデヴィッド・サンボーン。そして6日からは、ニュー・バンドの日本お披露目公演に突入しています。共演メンバーは、ウィントン・マルサリス率いるリンカーン・センター・オーケストラの中心メンバーでもあったワイクリフ・ゴードン(トロンボーン、スライド・トランペット)、長年にわたってニューヨーク・ヴォイセズをサポートするアンディ・エズリン(ピアノ、キーボード)、パット・メセニーを筆頭に数多くのミュージシャンから絶大な信頼を得るベン・ウィリアムス(アコースティック・ベース)、フュージョンもファンクもストレート・ジャズも何でも来いの名手ビリー・キルソン(ドラムス)。これまでのサンボーンとは一線を画す楽器編成です。

4人が演奏を始めた後、ゆっくりと御大が登場します。曲調はモード・ジャズといったところでしょうか。「こういうタイプの曲、サンボーンのアルバムに入っていなかったはずだが」と思いながら聴いているうちに、マイケル・ブレッカーの遺作『Pilgrimage』に入っている「Tumbleweed」という曲だ、ということがわかってきました。それにしても渋い選曲です。『Pilgrimage』は白血病の療養中だったマイケルが、奇跡的に体調が上向いたときに吹き込んだラスト・アルバムで、その後ただ一度のライヴ(ハービー・ハンコックのコンサートで1曲演奏した)に出ただけで、彼は世を去ってしまいます。したがって「Tumbleweed」をマイケル自身が人前で演奏した記録もないはずです。それを、かつて"ブレッカー・ブラザーズ・バンド"で一緒に演奏したことのあるサンボーンの解釈で聴けるとは感激です。アコースティック・ピアノの分厚いバックを受けて延々と続いたアルト・サックスのブロウは"サンボーン流シーツ・オブ・サウンド"と呼びたくなるほど熱く、ゴードンもトロンボーンとスライド・トランペットを使い分けながら豪快に吹きまくります。キルソンのドラムスがソリストを否応なく煽り、ウィリアムスは地を這うがごとき重厚な低音を響かせます。五人の丁々発止、まさに「ジャズ」です。

続くナンバー、「Half Moon Lane」も『Pilgrimage』に入っているマイケルのオリジナル曲です。「彼が素晴らしいサックス奏者だということはよく知られていると思うけれど、作曲家としてもすごい才能の持ち主だったんだ」と前置きしてから、サンボーンは演奏に入ります。この2017年はマイケルの没後からちょうど10年です。ゴードンはプランジャー・ミュートを使い、人声のような効果をトロンボーンから引き出します。実に感動的なトリビュートでした。

その後のステージでも、"従来のサンボーン像"の斜め上を行くパフォーマンスが続きます。人気曲「Maputo」は前日のオーケストラとの共演でも披露されましたが、この日はアレンジをガラッと変えて迫ります。エズリンがキーボードでアフリカの親指ピアノのような音を出し、キルソンのポリリズムが炸裂する上を、あの聴きなれたメロディが、いつもとは違った譜割りでプレイされていくのです。カルテットで演奏された自作のバラード「Sofia」、ゴードンが提供したファンキーな「On the Spot」(彼のリーダー・アルバム『United Soul Experience』に収録)も絶品でした。公演は9日まで開催。ニュー・サンボーン、ぜひお楽しみください!
(原田 2017 12.7)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2017 12.6 WED.
1st & 2nd
1. TUMBLEWEED
2. HALF MOON LANE
3. MAPUTO
4. NIGHT JESSAMINE
5. SOFIA
6. SPANISH JOINT
7. ON THE SPOT

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