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The EXP Series #15 / BANDA MAGDA

artist BANDA MAGDA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ステージには、何房ものバナナがぶら下がっています。向かって右に配置されているのは、多種多彩なパーカッションの数々。エキゾチックでトロピカルな世界に誘い込まれるような感じです。

注目のワールド・ミュージック・ユニット、バンダ・マグダがブルーノート東京に初登場を果たしました(通算2度目の来日)。2010年、ギリシャ人マグダ・ヤニクゥを中心に結成され、ブルックリンを拠点に活動を開始。メンバーは多国籍からなり(今回のメンバーはギターのイグナシオ・ヘルナンデスがアルゼンチン・ブエノスアイレス、ベースのマット・アロノフがアメリカ・ニュージャージー、パーカッションのケイタ・オガワが長崎の佐世保、やはりパーカッションのカン・ヤナべとヴィブラフォンのミカ・ミムラが大阪出身)、マグダ自身もフランス、イタリア、スペイン、ギリシャ、ポルトガルと5か国語で歌います。スナーキー・パピーのマイケル・リーグを共同プロデュースに迎えた前作『Yerakina』が、iTunes Worldチャートで1位を獲得し、最新作『Tigre』でメジャー・デビューを果たしました。

オープニングは、その『Tigre』から「Tam Tam」。4本のマレットを用いた美しいヴィブラフォンの音色、厚みのあるパーカッションの響きをバックに、マグダは踊りながら歌います。ちょっと高く張った、声量ゆたかなヴォーカルが会場を覆うように響きます。彼女はまた、オーディエンスとのコミュニケーションをとても大切にするタイプです。2013年の作品『Amour, t'es là?』からの「Couche Toi」では事前にユーモラスな"歌唱指導"を行ない、観客のコーラスも交えて演奏が進みました。マグダはアコーディオンも弾くのですが、これも実に流麗です。

「Vem Morena」ではスナーキー・パピー、J-Squadなどでも活躍するオガワが4台の"豚パーカッション"で妙技を披露します。米国ノースカロライナのコンサートでブラジルの鬼才エルメット・パスコアールが使っているのを見て感銘を受け、取り入れることにしたのだそうです。ブヒブヒ音の勢い、リズミカルで早口なマグダの歌声、引き締まったバンド・サウンドが一体となって興奮を運びます。つづく「Chanson Lev」はグループの"静の一面"を発揮したナンバーといえましょうか。バンダは客席に入り込み、じっくりと歌い上げます。

ほかにも、物語仕立ての「Le Tigre Marin」、ヴィニシウス・ヂ・モライスとトッキーニョのコンビが残した「Senza Paura」のカヴァーなど、聴きどころがいっぱい。気鋭ばかりが集まったユニットによる、勢い溢れるエンタテインメント・ショウを満喫した気分です。公演は本日も行なわれます。
(原田 2017 12.11)


Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2017 12.10 SUN.
1st
1. TAM TAM
2. COUCHE-TOI
3. REINE DE BOIS
4. VEM MORENA
5. CHANSON LEV
6. LE TIGRE MALIN
7. SENZA PAURA
EC. AMOUR T’ES LA?
 
2nd
1. TAM TAM
2. COUCHE-TOI
3. REINE DE BOIS
4. SABIA
5. MUCHACHA (OJOS DE PAPEL)
6. LE TIGRE MALIN
7. SENZA PAURA
EC1. CHANSON LEV
EC2. AMOUR T’ES LA?

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