2017 12.19 tue., 12.20 wed., 12.21 thu., 12.22 fri.
PATTI AUSTIN sings ELLA FITZGERALD -Centennial Celebration-
artist PATTI AUSTIN
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
この2017年、さまざまなジャズ・ミュージシャンが生誕100年を迎えました。ブルーノート東京でもジョン・ビーズリーがセロニアス・モンク、ビッグ・ファット・バンドがバディ・リッチ、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロとジョン・ファディスがディジー・ガレスピーの生誕100年を祝いましたが、昨日からはパティ・オースティンによるエラ・フィッツジェラルド生誕100年プログラムが始まっています。当代一の実力を持つベテラン・シンガーが20世紀を代表する歌姫にトリビュートするのですから、まさしく必見必聴です。パティは4月からエラに捧げるツアーを世界各地で行ない(特にニューヨーク・ハーレムの「アポロ・シアター」公演は熱狂的な盛り上がりをみせたそうです)、ついにこの12月、日本にやってきたのでした。
パティは2002年、念願のアルバム『For Ella』というアルバムを発表しています。エラ、フランク・シナトラ、メル・トーメら数々の名歌手と縁の深いパトリック・ウィリアムスをアレンジャーに迎えた豪華な作品で、グラミー賞にもノミネートされました。ステージでは、ここからの楽曲がふんだんに歌われました。「You'll Have To Swing It (Mr. Paganini)」や「A Tisket A Tasket」はヒット・チャートを賑わせた、「エラはポップ・スターでもあったの。今でいうところのテイラー・スウィフトみたいな存在ね」というパティのMCを裏付ける楽曲。そして名作曲家ジョージ・ガーシュウィンのソングブック(エラは少なくとも2度、彼の作品集を出しています)からは「Our Love Is Here To Stay」「The Man I Love」「But Not For Me」をじっくり聴かせてくれました。後者2つでは、普段あまりとりあげられることのないヴァース("前歌"と訳されることが多いようです)も歌い込まれました。この"ヴァース"を聴くだけでも、とびきり贅沢なひと時を味わった気分になることでしょう。
エラはまた、スキャットの達人でもありました。パティはMCで、「意味のない歌詞で歌うこと」と「本物のスキャット・シンギング」の違いについて実に分かりやすく説明し、エラの金字塔である「How High The Moon」の歌唱に入ります。1コーラス目はゆっくりしたテンポでメロディアスに歌い、2コーラス目、3コーラス目とテンポを速めてメロディをフェイクし、4コーラス目に入ると超快速スキャットが炸裂します。エラの解釈に敬意を払いながらも、その歌声とノリはまさしくパティ流。パトリック・ウィリアムスが書いたトリビュート曲「Hearing Ella Sing」におけるスウィング感も見事でした。
どちらかというと「Say You Love Me」や「Kiss」といったフュージョン~ブラック・コンテンポラリー路線でおなじみのパティですが、そちら方面のファンにもぜひお越しいただきたい、ハッピーでスウィンギーで、無類の歌のうまさが際立つ絶品のステージでした。公演は22日まで続きます。
(原田 2017 12.20)
Photo by Takuo Sato
2017 12.19 TUE.
1st | |
---|---|
1. | TOO CLOSE FOR COMFORT |
2. | HONEYSUCKLE ROSE |
3. | YOU’LL HAVE TO SWING IT (Mr.PAGANINI) |
4. | OUR LOVE IS HERE TO STAY |
5. | A TISKET A TASKET |
6. | MISS OTIS REGRETS |
7. | HARD HEARTED HANNAH |
8. | BUT NOT FOR ME |
9. | SATIN DOLL |
10. | THE MAN I LOVE |
11. | HOW HIGH THE MOON |
EC. | HEARING ELLA SING |
2nd | |
1. | TOO CLOSE FOR COMFORT |
2. | HONEYSUCKLE ROSE |
3. | YOU’LL HAVE TO SWING IT (Mr.PAGANINI) |
4. | OUR LOVE IS HERE TO STAY |
5. | A TISKET A TASKET |
6. | MISS OTIS REGRETS |
7. | HARD HEARTED HANNAH |
8. | BUT NOT FOR ME |
9. | SATIN DOLL |
10. | THE MAN I LOVE |
11. | HOW HIGH THE MOON |
EC1. | HEARING ELLA SING |
EC2. | HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS |