2017 12.23 sat., 12.24 sun., 12.25 mon. @Blue Note Tokyo / 2017 12.26 tue., 12.27 wed. @Cotton Club
Christmas Evening with ANDREA MOTIS & JOAN CHAMORRO QUINTET
artist ANDREA MOTIS , JOAN CHAMORRO
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
先日までパティ・オースティンによる貫録と円熟のエラ・フィッツジェラルド・トリビュートが繰り広げられていましたが、昨日からはスペインからやってきた新歌姫がブルーノート東京を暖めています。『エモーショナル・ダンス』でワールド・デビューしたニュー・スター、アンドレア・モティスの登場です。
アンドレアは2010年、15歳の時にスペインのレーベルからアルバム・デビューを果たしました。しかし、世界的な人気者になったのはやはり前述『エモーショナル・ダンス』がリリースされてから。今年5月ブルーノート東京に初めて登場し(いきなり満員でした)、9月には「東京JAZZ」に出演、そしてクリスマス・シーズンに再びブルーノート東京に戻ってきてくれたのでした。バックはもちろん、彼女が通っていた音楽院のジャズ教授でもあるジョアン・チャモロを中心とする面々。趣味の良い伴奏で、アンドレアの歌声を大いに引き立てていました。
ダイアナ・クラールも歌った通好みのスタンダード・ナンバー「I'm An Errand Girl For Rhythm」で観客の心をつかみ、続いてボサ・ノヴァの古典「Chega de Saudade」をポルトガル語で語るように伝えます。そしてカタルーニャを代表するシンガー・ソングライター、ジョアン・マヌエル・セラートの「Mediterráneo」はカタラン語で快唱。「The Old Country」をレパートリーに加えるあたりも"実にセンスがいいなあ"と思います。'60年代にナンシー・ウィルソンが歌い、'80年代にキース・ジャレットがとりあげて再び脚光を浴びた曲ですが、それが2010年代に入ってアンドレアの清新な歌声で蘇るあたり、まさに名曲伝承という言葉がぴったりです。またほとんどの曲でアンドレアはワン・コーラス歌った後、即座にトランペットでアドリブ・パートに入ります。その切り替えの素早さにも、ぜひ注目していただけたらと思います。ヴォーカルとトランペットを兼ねた女性アーティストは過去にもヴァライダ・スノウ、クロラ・ブライアント、ステイシー・ロウルズなどがいるにはいますが、"日本のライヴでそれをやった"のはアンドレアが初めてなのではないでしょうか。
またチャモロは「My One And Only Love」と「Jubilation」でベースではなく、テナー・サックスを演奏しました。全編バリトン・サックスを吹きまくった『Baritone Rhapsody』というアルバムを出してから6~7年経っているはずですが、テナーによるプレイも実に堂々としたものです。「Jubilation」は当夜、唯一のインストゥルメンタル・ナンバー。'50年代にピアニストのジュニア・マンスが書き、キャノンボール・アダレイやアート・ファーマーもとりあげたゴスペル調の楽曲です。ピアニストのイグナシ・テラーザはこの曲のみキーボードを弾き、左手による強靭なベース・ラインで、チャモロのテナーやアンドレアのトランペットを鼓舞していました。
クリスマス・シーズンということで、かわいらしいアレンジが施された「Have Yourself A Merry Little Christmas」で本編は締めくくられましたが、オーディエンスの拍手はやみません。ふたたびステージに登場したメンバーは、前回のブルーノート東京公演でも圧巻だった「Never Will I Marry」(今回もエステベ・ピのアート・ブレイキー流ドラム・ソロが火を噴きました)、さらに「Poor Butterfly」をヴァース(元歌)からじっくりと披露。2017年のジャズ界で大きな話題を集めたシンデレラ・ガールは、2018年もシーンを大いに活気づけることでしょう。「ブルーノート東京」公演は25日まで続き、26日と27日は「コットンクラブ」に登場します。
(原田 2017 12.24)
Photo by Yuka Yamaji
●ANDREA MOTIS & JOAN CHAMORRO QUINTET
2017 12.23 sat., 12.24 sun., 12.25 mon. ブルーノート東京
2017 12.26 tue., 12.27 wed. コットンクラブ
2017 12.23 SAT.
1st | |
---|---|
1. | I’M AN ERRAND GIRL FOR RHYTHM |
2. | CHEGA DE SAUDADE |
3. | YOU’DE BE SO NICE TO COME HOME TO |
4. | CARINHOSO |
5. | THE OLD COUNTRY |
6. | TABACARIA |
7. | MY ONE AND ONLY LOVE |
8. | MEDITERRANEO |
9. | IF YOU GIVE THEM MORE |
10. | JUBILATION |
11. | HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS |
EC1. | NEVER WILL I MARRY |
EC2. | POOR BUTTERFLY |
2nd | |
1. | I’M AN ERRAND GIRL FOR RHYTHM |
2. | CHEGA DE SAUDADE |
3. | CARINHOSO |
4. | HONEYSUCKLE ROSE |
5. | THE OLD COUNTRY |
6. | TABACARIA |
7. | LUIZA |
8. | MEDITERRANEO |
9. | AIN'T NO SUNSHINE WHEN SHE’S GONE |
10. | JUBILATION |
11. | HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS |
12. | SEÑOR BLUES |
EC. | BESAME MUCHO |