LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


SIMON PHILLIPS "PROTOCOL Ⅳ" featuring GREG HOWE, ERNEST TIBBS & OTMARO RUIZ

artist GREG HOWE , SIMON PHILLIPS

VIDEO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


2018年の「ブルーノート東京」、最初の登場アーティストはスーパー・ドラマーのサイモン・フィリップスです。4日には櫻井哲夫のニュー・イヤー・セッションに参加、5日から7日まで自身のユニットを率いて公演中です。ジェフ・ベック、ミック・ジャガーらを支え、TOTOや上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト等のリズムを引き締めてきた彼の技を、ひたすら満喫できる絶好の機会です。ぼくは5日のファースト・セットに足を運びました。

ステージの向かって左側に要塞のようなドラム・セットが設置され、その横にベースのアーネスト・ティブズ(ロサンゼルス出身)、ハード・ロック畑でも人気を集めるギターのグレッグ・ハウ(新加入、ニューヨーク出身)が並びます。さらにその横にはジョン・マクラフリンのバンドにも在籍経験のあるオトマロ・ルイス(ベネズエラ出身)が、キーボードとアコースティック・ピアノに囲まれる形で座ります。今回の公演は最新アルバム『プロトコルIV』を携えてのもの。グレッグのハーモニクス奏法が炸裂するロック色の濃い「Nimbus」から、四者一体となったバンド・サウンドがいきなり炸裂です。自由奔放なメンバーのソロと、一糸乱れることのない複雑な"キメ"が深い余韻を残します。続く「Pentangle」はグレッグのカッティング、アーネストのスラップ奏法が生かされたファンキーなナンバーです。後半、ギターとベースとキーボードが一斉に演奏するリフにあわせ、サイモンが入魂のドラム・ソロを披露。ものすごくたくさんあるタムやシンバルを使い分けながら、粒の揃った音色、メロディアスなフレーズで魅了します。ひときわ高い場所からぶら下がっている大きめのシンバルを叩く時、まっすぐに伸びる左腕の動きも印象に残りました。

その後もインド音楽とニューオリンズ・セカンド・ラインが融合したような「Passage to Agra」、"孤独"というタイトルなのにラウドでワイルドな「Solitaire」など新作からのナンバーが次々と登場。オトマロの抒情的なアコースティック・ピアノによる無伴奏ソロを間に挟み、「Celtic Run」ではグレッグのアーミングやタッピングが炸裂、「All Things Considered」ではオトマロのシンセサイザーと壮絶な掛け合いを繰り広げました。グレッグの参加は、 "プロトコル"に新たな刺激をもたらしたといっていいでしょう。

3歳の頃からスティックを握る世界最高峰のドラマーが、選りすぐりのメンバーと共に、自信のニュー・アルバムからの曲を立て続けに繰り広げるライヴ。これが盛り上がらないわけがありません。ロック・ファン、フュージョン・ファン、ジャズ・ファン、インスト・ファンを自認する方には、ぜひお越しいただきたい公演です。
(原田 2018 1.6)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2018 1.5 FRI.
1st & 2nd
1. NIMBUS
2. PENTANGLE
3. PASSAGE TO AGRA
4. SOLITAIRE
5. PIANO SOLO
6. INTERLUDE
7. CELTIC RUN
8. ALL THINGS CONSIDERED
9. PHANTOM VOYAGE
10. DRUM SOLO
11. AZOREZ

INDEX