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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


人気テナー・サックス奏者、カーク・ウェイラムが最新作『#LOVECOVERS』を携えて来日中です。彼が「ブルーノート東京」に登場するのは、2016年から17年にかけて行なわれたフォープレイのカウントダウン・ライブ以来。'80年代半ばにソロ・デビューしてから、フュージョン~スムース・ジャズ界では不動の評価を得ていますが、近年はブルーノ・マーズのバンド等でトロンボーンを吹いているキャメロン・ウェイラム、クリスチャン・スコットやマックスウェルとの絡みもあるサックス奏者ケネス・ウェイラム3世の叔父として、次世代リスナーからも注目が高まっているといっていいでしょう。

ライヴのプログラムは彼のライフワークといえる"The Gospel According to Jazz"からの楽曲あり、シャッフル・ブルースあり、ジャズの伝統的ナンバーあり、独壇場といえるバラードあり、と実に多彩でした。「Another Beautiful Day」ではスケールの大きなカデンツァ(曲のエンディングに登場する独奏部分)を聴かせ、そのままジョン・コルトレーンの難曲「Giant Steps」へ。コルトレーン・ヴァージョン以上のアップ・テンポで、これでもかと吹きまくります。また「Cain't Stay Blue」では、バンド・メンバーと一緒に見事なハモリを聴かせます。リード・ヴォーカル役のカークは地声のパートと、サックスのマウスピースをくわえてキーをカシャカシャしながら、まるで宇宙人のような声で歌うパートの二役を演じました。

後半、いよいよの目玉のひとつである「I Will Always Love You」が演奏されます。ドリー・パートンが自作自演し、ホイットニー・ヒューストンのカヴァーで世界中に知れ渡った曲です。カークはホイットニーのヴァージョンで間奏を吹くだけでなく、バンド・メンバーとしてもこの曲を千回は演奏したそうです(カークの初来日も、ホイットニーの伴奏者としてのものでした)。『#LOVECOVERS』ではビー・ビー・ワイナンズ等の歌がフィーチャーされていましたが、客席に入り込み、このドラマティックなメロディを切々と奏でました。まさに"歌うサックス"の本領発揮といえましょう。世界各地のミュージシャンとのコラボレーションを収めた次回作『Humanity』も制作快調というカーク、いっそう彼から目が離せません! 公演は14日まで続きます。
(原田 2018 1.13)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2018 1.12 FRI.
1st
1. FISH & SPAGHETTI
2. ANOTHER BEAUTIFUL DAY ~ GIANT STEPS
3. CAIN’T STAY BLUE
4. TRIAGE
5. THIS IS THE DAY
6. I WILL ALWAYS LOVE YOU
7. GROVERWORKED & UNDERPAID
EC. THE WAVE
 
2nd
1. FISH & SPAGHETTI
2. ANOTHER BEAUTIFUL DAY ~ GIANT STEPS
3. CAIN’T STAY BLUE
4. TRIAGE
5. THIS IS THE DAY
6. I WILL ALWAYS LOVE YOU
7. GROVERWORKED & UNDERPAID
8. ASCENSION

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