LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


JORDAN RAKEI

artist JORDAN RAKEI

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

話題のシンガー・ソングライターが、ついにブルーノート東京に初登場! ジョーダン・ラカイの公演が昨日から始まりました。クック諸島出身、英国ロンドンを拠点に活動。その音楽的天分は、サム・スミス、ジャイルス・ピーターソン、ロバート・グラスパー、リチャード・スペイヴンなど多くの才人から認められています。

今回の公演は、2017年3月に行なわれたコットンクラブでの演奏とまったく同じメンバーによるもの。2つのスネア・ドラムの響きを対比させ(ひとつは鋭く"パシッ"、もうひとつはこもり気味で太い"ズボッ"という感じの音を出す)、さらにリム(タムの淵にある盛り上がったところ)を軽やかに叩くジム・マクレエのドラム・プレイはどの曲でも冴えわたり、ベースのトム・ガイは低音部をグルーヴィーに担うだけではなく、見事なハーモニー・ヴォーカルも堪能させてくれました。ちょっと抑え気味の低めの声が、ジョーダンのハイトーン・ヴォイスにぴったり重なって、音楽をさらに豊かに膨らませていくのです。ギターのシェルドン・アグウは、B.B.キングやフレディ・キングのブルースで音楽に本格的に開眼し、その後ウェス・モンゴメリーやアーネスト・ラングリンのジャズ・ギターを知り、アラン・ホールズワース系のギタリストであるスコット・マッギルにジャズ奏法を習い、J・ディラの音楽にも大いに共感し、今日に至るという逸材です。「ギタリストが歌のバックで弾くときは、コード(和音)やカッティングがどうしても主になる」というのが、ぼくの印象ですが、シェルドンは単音によるさまざまなフレーズを歌の背後で奏でたり、合間に挟みます。液体のように形を変化させてゆくバックのサウンドと、漂うようなジョーダンの歌声との融合は、まさしく時間の流れを忘れさせてくれました。抑え気味の照明、背後のスクリーンにうつる幻想的な映像の数々も、音楽と一体化していました。

レパートリーは最新作『Wallflower』からタイトル曲、「Eye To Eye」、「Hiding Place」、前作『Cloak』から「Blame It on the Youth」、「The Light」等。ジョーダンはキーボードの弾き語りだけでなく、アコースティックやエレクトリック・ギターも演奏しました。高く滑らかでありつつ"強さ"を感じさせる声、ミュージシャンの多彩な音作り。今回の公演で彼はさらに日本での支持を確かにすることでしょう。

(原田 2018 1.16)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2018 1.15 MON.
1st & 2nd
1. EYE TO EYE
2. GOODBYES
3. NERVE
4. ADD THE BASSLINE
5. THE LIGHT
6. BLAME AT ON THE YOUTH
7. CARNATION
8. HIDING PLACE
9. WALL FLOWER / LUCID
10. Alright
11. MIDNIGHT MISCIEF / TRIBE
12. SELFISH
13. TALK TO ME
EC. SORCERESS

INDEX