2018 1.26 fri., 1.27 sat. @Blue Note Tokyo / 2018 1.29 mon., 1.30 tue. @Cotton Club
JOHN PIZZARELLI @BLUE NOTE TOKYO
artist JOHN PIZZARELLI
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
父バッキー・ピザレリゆずりの7弦ギター・テクニック、小粋で優しい歌声、卓越した選曲、スタイリッシュなファッション・センス、抜群のスウィング感・・・魅力の玉手箱と言える存在がジョン・ピザレリ(ピッツァレーリ)です。ブルーノート東京へはなんと5年ぶりの出演。場内は老若男女のファンでいっぱいです。
オープニングではジョージ・ガーシュウィンの楽曲を2曲連続で聴かせてくれました。「They Can't Take That Away From Me」は、まずジョンがひとりギター弾き語りでヴァース(前歌)を歌い、その後バンド・メンバーが入り込んでくるアレンジ。フレッド・アステアの歴史的名唱で知られるナンバーですが、洒落ているという点ではジョンの解釈もアステアに勝るとも劣りません。「I Got Rhythm」では高速ギター・カッティング、無伴奏によるコード(和音)ソロ1コーラス、スキャットとギターのユニゾン等を盛り込んで、ギタリストとしての凄味もたっぷり届けてくれました。美しい左手の指の動き、右手首の柔らかなスナップは、ギター志望者の目をくぎ付けにすることでしょう。
続いては"月にちなんだ曲"コーナー。「It's Only a Paper Moon」では敬愛するナット・キング・コールのヴァージョンを基にしたアレンジで快演、「Polka Dots and Moonbeams」でのジョンはタル・ファーロウばりに全編ハーモニクス(押えているフレット・ポジションの音程よりも高い音を出すテクニック)を用いて間奏1コーラスを弾き切りました。アップ・テンポの「How High the Moon」では場内から自然に手拍子が巻き起こります。そしてギターとスキャットのユニゾンを再び披露。この手法はジョージ・ベンソンの得意技としても知られていますが、ジョンのアプローチはよりあっさりしていて、羽毛のような肌触りです。
そしてここからお待ちかね、最新作『Sinatra And Jobim @ 50』からのナンバーが続きます。この作品はフランク・シナトラ(ジョンにとってはイタリア系アメリカ人シンガーの大先輩にあたります)とアントニオ・カルロス・ジョビンが'67年に発表した名盤『Francis Albert Sinatra & Antônio Carlos Jobim』のリリース50周年記念トリビュート・アルバムで、ジョンはアントニオの孫のダニエル・ジョビン(久保田利伸とのコラボでも知られています)の協力を仰いで完成させました。ジョンはアコースティック・ギター(これも7弦です)に持ち替え、「Baubles, Bangles and Beads」、「Wave」、'70年代にマイケル・フランクスがアントニオに捧げて書いた「Antonio's Song」などを次々と披露。少しも力むことのない歌声が、ボサ・ノヴァのリズムにぴったりと合います。
さらにその後も友人ポール・マッカートニーの書いた「Silly Love Songs」、「And I Love Her」を弾き語りしたり(後者は彼ひとりによるパフォーマンスで、7弦ギターの低音が絶妙なベース・ラインを描きました)、オスカー・ピーターソンとナット・キング・コールに捧げたインストゥルメンタル「Oscar Night」(かつてジョンのバンドにいたピアニストの故レイ・ケネディが作曲)などで場内を沸かせました。
メロディへの愛、ジャズの伝統へのリスペクトを深く感じさせる、本当にさわやかなステージでした。公演は本日までブルーノート東京で開催された後、29日と30日にコットンクラブで行なわれます。
(原田 2018 1.27)
Photo by Yuka Yamaji
●JOHN PIZZARELLI
2018 1.26 fri., 1.27 sat. ブルーノート東京
2018 1.29 mon., 1.30 tue. コットンクラブ
2018 1.26 FRI.
1st | |
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1. | THEY CAN’T TAKE THAT AWAY FROM ME |
2. | I GOT RHYTHM |
3. | IT’S ONLY A PAPER MOON |
4. | POLKA DOTS AND MOONBEAMS |
5. | HOW HIGH THE MOON |
6. | BAUBLES, BANGLES AND BEADS |
7. | I CONCENTRATE ON YOU / WAVE |
8. | ANTONIO’S SONG |
9. | CANTO CASUAL |
10. | SILLY LOVE SONGS |
11. | LET ’EM IN |
12. | AND I LOVE HER |
13. | OSCAR NIGHT |
EC. | DON’T BE THAT WAY |
2nd | |
1. | SATIN DOLL |
2. | IN A MELLOW TONE |
3. | DON’T GET AROUND MUCH ANYMORE |
4. | C JAM BLUES |
5. | THE GIRL FROM IPANEMA |
6. | AQUA DE BEBER |
7. | BAUBLES, BANGLES AND BEADS |
8. | ANTONIO’S SONG |
9. | CANTO CASUAL |
10. | SILLY LOVE SONGS |
11. | COMING UP |
12. | I LIKE JERSEY BEST |
EC1. | ROUTE 66 |
EC2. | MEDLEY (IT HAD TO BE YOU ~ I THOUGHT ABOUT YOU ~ THE MORE I SEE YOU ~ TOO MARVELOUS FOR WORDS) |