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ROY HARGROVE QUINTET

artist ROY HARGROVE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


昨年秋にファンク~ヒップホップ系ユニット"RHファクター"を率いて登場、超満員の観客を沸かせたトランペット奏者ロイ・ハーグローヴ。そして今回は自身のクインテット(5人編成)を率いて、彼の考えるアコースティック・ジャズをたっぷり披露します。もちろん客席はフルハウス状態。ロイは本当に人気があります。RHファクターの時とはファッションも一変、よりトラッドな着こなしになっているのも見どころのひとつです。

共演メンバーはジャスティン・ロビンソン(アルト・サックス)、海野雅威(ピアノ)、アミーン・サリーム(ベース)、クインシー・フィリップス(ドラムス)という不動の面々。ロイはその場で曲目を決めていくタイプなので、次に何が出てくるかはメンバーの間でもわからないそうです。なので大体ロイがきっかけを吹き始めた後、4人がそれについていくことになるのですが、その様子はまさしく"瞬時に合わせる"という感じ。本当にまとまりのある、通じ合っているグループだなと思います。「ジャズジャパン」今月号に海野が寄稿したエッセイを読んでいても、いかに現在、このクインテットが波に乗った状態であるかが伝わってきます。

セットリストを持たないバンドであるとはいっても、ロイの頭の中には、しっかりしたひとつの流れがあるようです。前半は、いわゆるモード・ジャズ的なナンバーが中心。ソリストが変わるごとにテンポが大きく変化したり、突如休符が入ったり、ポリリズムで盛り上げたり。そのあたり、個人的には'80年代のウィントン・マルサリス・バンドを思い出すところもありましたが(ロイはハイスクール時代、ウィントンに見出されました)、よりすんなり、乗り良く耳に入ってくるのは、こうした手法が長年のうちにすっかりモダン・ジャズにとっての基本言語になったということでもあるのでしょう。

そしてプログラム後半では、ファンキー・ガイとしてのロイを楽しむことができました。伝説のR&Bレーベル"スタックス"の花形であるサム&デイヴがヒットさせた「Soothe Me」ではヴォーカルやダンスも披露して客席を沸かせ、マイケル・ジャクソンの「Rock with You」ではフリューゲルホーンを用いてメロウに。ハービー・ハンコック作「Actual Proof」では2台のスネア・ドラムを使ったクインシーのプレイが炸裂し、アミーンが強靭な音でダンサブルな人気曲「Strasbourg St. Denis」のイントロを弾き始めると、"待ってました"とばかりにひときわ盛大な拍手と声援が起こりました。オーラスではロイとジャスティンが客席におりて演奏しながらバックステージに戻り、つづいてクインシー、アミーンの順でステージを去ります。そして最後は一人残された海野が、爽快なソロ演奏でエンディングを決めました。公演は3日まで休みなく続きます。
(原田 2018 3.1)

Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2018 2.28 WED.
1st
1. CAMARADERIE
2. TSCHPISO
3. 3 MO’
4. SEVENTH AVENUE
5. IT DOO ITLIAH
6. POLO GROUNDS
7. THINKING OF YOU
8. A SHADE OF JADE
9. SOOTHE ME
10. STRASBOURG ST. DENIS
11. ROCK WITH YOU
12. THE THEME
13. ACTUAL PROOF
14. SOULFUL
 
2nd
1. THE POET
2. THE DIVINE SPIRIT
3. THE THRILL
4. JUST
5. ROOT PRAYER
6. SEATTLE VIBE
7. THIS IS ALWAYS
8. LAKE DANSE
9. THE THEME
10. PINOCCHIO
EC. IF I HAD YOU

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