3.12 mon. @Cotton Club / 3.13 tue., 3.14 wed. @Blue Note Tokyo / 3.15 thu. @Nagoya Blue Note
KENNY GARRETT @COTTON CLUB
artist KENNY GARRETT
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
10代の頃から故郷デトロイトで活動(個人的にはキーボード奏者、エディ・ラスとの共演が印象に残っています)、デューク・エリントン・オーケストラ(マーサー・エリントン指揮)に入って世界を巡業し、'80年代にはアート・ブレイキーやマイルス・デイヴィスのバンドにも参加。マイルスが亡くなった'91年9月以降は主に自身のグループを率いて、大西順子、クリス・デイヴ、ロナルド・ブルーナーJr.、コーリー・ヘンリー、ジャスティン・ブラウン、ベニート・ゴンサレスなど常にその時代の若手を擁しながら第一線に立ち続ける・・・それがケニー・ギャレットです。本日と明日はブルーノート東京で公演が行なわれますが、ぼくは昨日のコットンクラブ公演に足を運びました。
今回も彼は絶対要注目の気鋭を連れてきてくれました。ドラマーのサミュエル・ラヴィソです。カリブ海の南部にあるグアダループで生まれ育ち、父親のクリスチャン・ラヴィソ(デヴィッド・マレイらと共演、小沼ようすけも敬愛する名ギタリスト)らとの共演を経て、ギャレットのグループに参加しました。ギャレットはクリスチャンの2008年作品『Ti Moun A Lafrik』に参加、2016年にはラヴィソ親子とユニットを組んでグアダループでライヴを開催しています。いわば今回の抜擢は数年来の念願が実った形であるのでしょう。サミュエルのプレイは「ビートを打ち出しながらも同時に常にドラム・ソロをやっているようなスタイル」を持ち、「手数は多いが、それが収まるところに収まっている気持ち良さ」を感じさせてくれます。チューニングの異なる2つのスネアのタイトな響き、小型ハイハットの鋭いクラッシュ音には心底引き込まれました。ギャレットはかなりの時間、彼のドラムスに向かって挑むようにアルト・サックスを吹きまくり、サミュエルは時おり声を出しながら(ウェイン・ショーター・カルテットのブライアン・ブレイドのように)、激しくスティックを打ち付けます。'80年代の若手筆頭だったギャレットが2010年代後半の若手サミュエルと共に、真摯そのものの音の渡り合いを繰り広げるのです。
ギャレットはソプラノ・サックスも持参していましたが、ぼくが観たセットではアルトに専念していました。ライヴ本編の演目はパーカッション奏者ルディ・バードのワードレス・ヴォーカルも導入したモード~スピリチュアル・ジャズ風「Haya's Here」、"1959年か60年頃のジョン・コルトレーンがアルトに持ち替えて「Night and Day」を吹いたら、かくや"的なメロディ・ラインと和音を持つ「Chasing the Wind」、ギャレットが"2・3クラーヴェ"の手拍子を客席に促す「Boogety Boogety」、そして歌も歌いながらエディ・ハリスばりのエンタテインメント・ファンク路線を繰り広げた「Do Your Dance」の4曲。これらを見事な流れで、ひとつの組曲のように聴かせます。中でも圧倒的だったのが「Chasing the Wind」です。これはルディを除く4人で演奏されたのですが、途中からヴァーネル・ブラウンのピアノが抜けたトリオになり、やがてベース奏者のコーコラン・ホルトも退いて、ギャレットとサミュエルのデュオが続き、さらにその後はギャレットが一人で長大な無伴奏ソロをとります。なんというフレーズのかっこよさ、リズムの切れ味!本日からのブルーノート東京公演でも燃焼してくれることでしょう。まさしく必見・必聴です。
(原田 2018 3.13)
Photo by Takuo Sato
●KENNY GARRETT
2018 3.13 tue., 3.14 wed. ブルーノート東京
2018 3.15 thu. 名古屋ブルーノート
2018 3.12 MON.
1st | |
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1. | HAYNES HERE |
2. | CHASING THE WIND |
3. | BOOGETY BOOGETY |
4. | DO YOUR DANCE! |
EC. | WAYNE'S THANG |