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OMARA PORTUONDO @BLUE NOTE TOKYO

artist OMARA PORTUONDO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


優しく、暖かく、力強い歌声が超満員の場内を満たしました。

キューバの、いや、世界の人間国宝というべきシンガー、オマーラ・ポルトゥオンドが昨日、圧巻のステージを繰り広げました。ブルーノート東京への出演はこの日限りでしたが、明日3月20日、六本木EXシアターでもコンサートが行なわれます(「オマーラ・ポルトゥオンド日本公演~映画『Cu-Bop across the border』公開記念 ロランド・ルナを迎えて~」)。70年以上ものあいだ第一線に立ち続けるオマーラの香り高い歌声を、ぜひ堪能していただけたらと思います。

ブルーノート東京公演の伴奏メンバーは奥山勝(ピアノ)、ガストン・ホヤ・パレリャーダ(ベース)、ロドニー・バレット(ドラムス)、アンドレス・コアヨ(パーカッション)。ガストンはチューチョ・バルデスやアロルド・ロペス=ヌッサなどとも共演を重ねてきた気鋭で、高音を駆使したソロも聴かせてくれました。ロドニーはオリヴァー・バルデスとのツイン・ドラムスによる映像作品『DRUMS LA HABANA』でも話題を集めたテクニシャンで、イサック・デルガードや話題の新星ブレンダ・ナバレテとも共演しています。大変なテクニシャンですが、この日ではブラッシュも活用し、音数を抑えた、実に柔らかいプレイで"女王"の歌を盛り立てていました。アンドレスは2011年にリリースされたオマーラとチューチョの共演盤『OMARA & CHUCHO』にも参加していたベテラン。ボンゴにキューバの国旗をぶら下げて、コンガ、ウィンド・チャイムズ、パンデイロなど様々な楽器を使って、リズムに絶妙なアクセントを加えます。奥山勝は'90年代にもオマーラの伴奏を務め、小野リサ、デイブ・バレンティン、カルロス菅野らとのプレイも経験してきた名手。非常に美しい前奏、モダン・ジャズへの敬愛を感じさせるアドリブ、歌に寄り添うようなコード(和音)、どれも見事でした。彼らは全員、伝統をリスペクトし、そこに今日性を付け加えているミュージシャンばかりといっていいでしょう。彼らの音作りと、歴史そのものが刻み込まれたオマーラの歌声が、快く一体化していきます。

観客はスタンディング・オベイションで彼女を迎え、リズミカルな曲では大いに乗りまくり、抒情的なナンバーではシンと静まって歌詞の一語一句に耳を傾けます。そして、時おり曲のエンディングを飾るオマーラの驚異的なロング・トーン(ブレスなしで8小節ぐらいは軽くいきます)に、ひときわ大きな歓声が起こります。曲目は目下の最新作『MAGIA NEGRA - THE BEGINNING』(1958年のアルバム『MAGIA NEGRA』収録楽曲を、こんにちのミュージシャンと再録した)からの「NOCHE CUBANA」「BESAME MUCHO」をはじめ、「LAGRIMAS NEGRAS」、「TAL VEZ」、「DUELE」等。数えきれないほどのレパートリーを持つオマーラだけに、20日のコンサートでも有名曲や隠れた名曲を織り交ぜつつ、それらを最上の解釈で観客に届けてくれることでしょう。

オマーラばんざい!彼女のライヴに接した方は、必ずそんな心境になるに違いありません。
(原田 2018 3.19)

Photo by Takuo Sato


●オマーラ・ポルトゥオンド日本公演
~映画『Cu-Bop across the border』公開記念 ロランド・ルナを迎えて~
2018 3.20 tue. EX THEATER ROPPONGI(東京・六本木)
<ご予約/お問合せ>
チケットぴあ インフォメーション:0570-02-9111
詳細はこちら

SET LIST

2018 3.18 SUN.
1st
1. NOCHE CUBANA
2. LO QUE ME QUEDA POR VIVIR
3. TAL VEZ
4. DUELE
5. DRUME NEGRITA
6. LÁGRIMAS NEGRAS
7. PALABRAS
8. ADIÓS FELICIDAD
9. BESAME MUCHO
10. DOS GARDENIAS
11. SI TE CONTARA
12. SILENCIO
13. LA SITIERA
EC. 20 AÑOS

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