2018 3.31 sat., 4.1 sun.
MARI NATSUKI "MARI de MODE 2"
artist 夏木マリ
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
昨年1月に開催された『MARI NATSUKI"MARI de MODE"』から、早くも1年3か月。歌手・俳優・声優としてジャンルレスな活動を続ける夏木マリが、ブルーノート東京に帰ってきてくれました。タイトルは『MARI NATSUKI"MARI de MODE2"』。2は"ドゥ"と読みます。しかも今回は2デイズです。
店内はドレスアップした男女で超満員。レパートリーは『九月のマリー』から『戦争は終わった』に至る、小西康陽がプロデュースした作品からのものが中心です。バンドがボサ・ノヴァ風ナンバー「むかし私が愛した人」のイントロを奏で始めると、夏木マリが客席の合間を縫うように登場します。髪型、髪の色、衣装、靴、どれをとってもスタイリッシュの一言に尽きます。左腕を脇にあて、右手の指をスナップしながら歌う姿は、そのまま絵画になりそうなほどサマになっていました。続く「港のマリー」では一輪のバラの花を手に持ち、"ファンキーなサンバ"と形容したくなるようなリズムに乗って軽やかに歌います。「私は私よ」で聴かせたスキャットも鮮やかでした。
バック・メンバーは久米大作(ピアノ、キーボード)、金澤英明(ベース)、竹上良成(テナー・サックス、フルート)、福原将宜(ギター)、山内陽一朗(ドラムス)、斉藤ノヴ(パーカッション)という選りすぐりの面々。伝説のジャズ・ピアニスト/作曲家の名前を曲名に用いた「セロニアス・モンク」では彼ら全員のソロも楽しむことができました。"朝から私の頭の中でセロニアス・モンクが鳴り響く"的な歌詞も、なんともジャズ・ファンの心をくすぐるのです。また「ミュージシャン」では"彼はレスター・ヤング、私はビリー・ホリデイのつもりで・・・"という描写の歌詞も登場します。そこを聴いていてぼくは、ジョニ・ミッチェルの歌う「グッドバイ・ポークパイ・ハット」を思い出しました。
本編ラストは「私のすべて」。小西康陽のユニット"ピチカート・ファイヴ"のCDでは野宮真貴が小悪魔的に歌っていました。この夜のヴァージョンはさらにテンポをアップし、しかもマイナー・キー基調に作り替え、夏木マリは"わがままだけど許されちゃうきれいな女性のひとりごと"的な歌詞を、メロディを投げつけるがごとく歯切れよく歌い切ります。この曲の後に飛び出したアンコール部分がまた圧巻なのですが、これに関しては当日いらした方のためのスペシャル・シークレットにしたいと思います。
"それでそれで、次の展開はどうなるの?"と前のめりにならずにはいられない物語性に富んだ歌詞、それをしっかり聴き手に伝える明瞭な発音と歌心、ヴォーカルを徹底的に引き立てる趣味の良い伴奏。それらが一体となった、とびきりぜいたくなひとときを味わいました。夏木マリとブルーノート東京はこのライヴのために、カクテルや食事のコラボレーションも行なっています。それらを賞味しつつ、本日もジャジーでシアトリカルな世界を満喫してみませんか。
(原田 2018 4.1)
Photo by Yuka Yamaji
2018 3.31 SAT.
1. | むかし私が愛した人 |
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2. | 港のマリー |
3. | カウボーイ |
4. | 私は私よ |
5. | セロニアス・モンク |
6. | 誘惑されて棄てられて |
7. | あしたの私 |
8. | いちばん好きなもの |
9. | アルコール |
10. | 惚れぐすり |
11. | 二の腕 |
12. | ゴリラ |
13. | ミュージシャン |
14. | きれいな顔の女 |
15. | ローマをみてから、死ね |
16. | 鎮静剤 |
17. | 私のすべて |
EC1. | Over the Rainbow |
EC2. | Summer Time |