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AKI YASHIRO Special Acoustic Night "Club Singer AKI YASHIRO"

artist 八代亜紀

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

国民的歌手が、「ブルーノート東京」公演のための特別プログラムによる2デイズを開催しています。初日は歌手としての原点に返った「スペシャル・アコースティック・ナイト"クラブ・シンガー八代亜紀"」、二日目となる本日は多彩なカテゴリーの曲を歌いまくる「プレミアム・846・ナイト"八代亜紀の世界"」です。ぼくは初日のステージを堪能いたしました。

伴奏は堀口宣行(ギター)、市川直樹(ピアノ、キーボード)、小林拡史(ドラムス)の3人。このシンプルな楽器構成も、親密な雰囲気を生み出すことに貢献していました。八代亜紀は「雨の慕情」を歌いながらオーディエンスとハイタッチをして、つづいて少女の頃から好きだったという洋楽「クライ・ミー・ア・リヴァー」、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」へと移ります。演歌の女王としてゆるぎない地位を得ている八代亜紀ですが、その原点には"ジャジーなアメリカン・ソング""ナイト・クラブでの日々"があります。"民謡のバックグラウンドを持つ""ベテラン作曲家の内弟子経験がある""着物を着て歌う"演歌歌手とは一線を画す彼女ならではの特質を、こうした洋楽カヴァーはさらに鮮明に際立たせてくれます。

ナイト・クラブで歌っていた頃はポップスや流行歌など数々のリクエストを受けたそうです。この日、ぼくがとくにしびれた一曲に「誰よりも君を愛す」があります。オリジナル・ヴァージョンは1959年、松尾和子と「和田弘とマヒナスターズ」の共演です。"夜のハスキー"こと故・松尾和子の名唱が、'70年代からハスキー界のトップを走り続ける八代亜紀の解釈で蘇る嬉しさ。マヒナスターズはスティール・ギターを歌謡曲に持ち込んだ先駆者ですが、堀口はスライド・ギターを用いて物憂い感じを表現しました。

後半では演歌路線のヒット曲が次々と披露されましたが、これがまた圧巻。3拍子の「なみだ恋」(100万枚を売り上げました)から始まり、早い2拍子の「おんなの夢」、小林がバスドラの連打で盛り上げる「恋歌」、市川のピアノが奏でるアルペジオがこよなく美しい「愛の終着駅」・・・磨き抜かれたアレンジと、心にしみわたる歌声が一体となって、演歌の多彩さと奥深さを改めて届けてくれました。

オーラスは、幼かった八代亜紀に音楽の魅力を伝えた父親に捧げた「一枚のLP盤」("いちまいのれこーど"と読みます)、そして誰もが知っているであろう名曲「舟唄」。「舟唄」の後半ではアカペラで「ダンチョネ節」を歌うのが定番で、ぼくも彼女のホール公演で感銘を受けたことがありますが、「ブルーノート東京」で聴くアカペラは距離の近さもあいまって、迫真のひとことに尽きました。本日おこなわれる「プレミアム・846・ナイト"八代亜紀の世界"」でも、この国民的シンガーは至高の歌世界へといざなってくれることでしょう!

(原田 2018 4.6)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2018 4.5 THU.
1st & 2nd
1. 雨の慕情
2. CRY ME A RIVER
3. FLY ME TO THE MOON
4. SUMMERTIME
5. ジャニーギター
6. 恋あざみ
7. うしろ姿
8. 誰よりも君を愛す
9. 昭和巷の子守唄
10. おんなの夢
11. 恋歌
12. 愛の終着駅
13. THE END OF THE WORLD
EC1. 一枚のLP盤
EC2. 舟唄

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