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BENNY GOLSON QUARTET

artist BENNY GOLSON

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


来年の1月に満90歳を迎える"レジェンドの中のレジェンド"ベニー・ゴルソンが、昨日から元気なステージを繰り広げています。共演メンバーは20年来のお気に入りであるマイク・ルドーン(ピアノ)、カール・アレン(ドラムス)、そして今回が初来日となる27歳のルーク・セリック(ベース)。カナダ出身の彼はロン・カーターの推薦でグループに加わったとのことです。

全員がスーツにネクタイで登場し、ゴルソンは深々とお辞儀をしてから観客に感謝の意を述べます。オープニングは、目下の最新作『Horizon Ahead』のタイトル曲。いきなりメロディアスで親しみやすいゴルソン・ワールド全開です。この曲に限らず演奏ルティーンはゴルソンのテーマ吹奏&ソロ→ピアノのソロ→ベースのソロ→(曲によりドラムのソロ)→後テーマの順で行なわれ、4人の持ち味をたっぷり楽しむことができました。'50年代に作曲したエヴァ―グリーン「Whisper Not」ではゴルソンのソロの前半が2ビート風のリズムで奏でられ、一度ブレイク(休符)を挟んだ後、アレンのアート・ブレイキー流のドラム・ロールをきっかけにステディな4ビートへと移っていきます。アレンは叩くシンバルを右側から左側のものへと変え、続くルドーンのソロのバックでは4拍目にスネア・ドラムのリム(縁)を叩いてアクセントを強調します。「なるほど、これはゴルソンが手放さないわけだ」と、キメの細かいドラム・プレイを聴いて痛感しました。

曲目はほかに故クリフォード・ブラウンに捧げたゴルソン史上に残るバラード「I Remember Clifford」、デューク・エリントン・オーケストラ(今月17日からブルーノート東京に出演)のテーマ・ソング「Take the A Train」、ピアノ・トリオで演奏されたシダー・ウォルトン作「Simple Pleasure」等。驚きのレパートリーは、最後の最後に披露されました。「亡くなった親友、ハンク・モブレーが書いた美しいナンバーだ。この曲を人前で演奏するのは今回が私の人生で初めて、つまり皆さんは世界初演を聴くことになるんだよ」という前置きから、「This I Dig of You」が演奏されたのです。モブレーとゴルソンが一緒になったレコーディングをぼくは思いつきませんが(カーティス・フラーの『スライディング・イージー』では、ゴルソンの編曲をモブレーが演奏していますが)、共にテナー・サックスを吹き、同世代であり(ゴルソンが1歳上)、"ディジー・ガレスピーのバンドやジャズ・メッセンジャーズに在籍したことがある"という共通点があります。

公演は5月9日まで開催(7日はオフ)。モダン・ジャズの香りを味わえる貴重な機会だと思います。永遠に光り輝く名曲の数々を、ぜひ作者の自作自演でお楽しみください!
(原田 2018 5.5)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2018 5.4 FRI.
1st
1. HORIZON AHEAD
2. WHISPER NOT
3. I REMEMBER CLIFFORD
4. SIMPLE PLEASURE
5. TAKE THE "A" TRAINI
6. TINY CAPERS
7. THIS I DIG OF YOU
 
2nd
1. ALONG CAME BETTY
2. UPTOWN AFTERBURN
3. KILLER JOE
4. MY FUNNY VALENTINE
5. STABLEMATES
6. BLUES MARCH
7. NOW'S THE TIME

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