2018 6.15 fri., 6.16 sat., 6.17 sun., 6.18 mon., 6.19 tue.
MIKE STERN BAND featuring MAKOTO OZONE, TOM KENNEDY & SIMON PHILLIPS
artist MIKE STERN , SIMON PHILLIPS , TOM KENNEDY , 小曽根真
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
まさしく"音楽で結びついた兄弟"という印象を受けます。マイク・スターンと小曽根真が2007年、2013年に続いて5年ぶり3度目のスペシャル・セッションをブルーノート東京で開催中です。今回の共演メンバーはトム・ケネディ(エレクトリック・ベース)、サイモン・フィリップス(ドラムス)。テクニック、柔軟性、個性、エンタテインメント性、どれもずば抜けた4人による、見ても聴いても熱くなること間違いなしのプログラムです。
オープニングは、まだレコーディングされていないというマイクの新曲「Half Crazy」。いわゆる"リズム・チェンジ"(ジョージ・ガーシュウィンの古典的名曲「I Got Rhythm」の和音進行に基づくスタイルで、日本では"循環コード"とも呼ばれる)を用いたナンバーです。一筋縄ではいかない音の跳躍を持つテーマ・メロディをギター、ピアノ、ベースがユニゾンで演奏し、そこにドラムスが絶妙なタイミングで合いの手を入れます。マイクはマイルス・デイヴィス・バンド在籍時代のレパートリー「Jean Pierre」の旋律をアドリブに盛り込んで存分に弾きまくり、その背後ではサイモンとトムが4ビートを細かく分断してすさまじいポリリズムを生み出します。マイクのソロが白熱するにつれてバンド全体の響きもラウドになるのですが、それが終わると同時にリズム隊は潮が引いたかのような静けさを創出し始めます。途端、小曽根が奏でるアコースティック・ピアノの音色がくっきりと浮かび上がり、リズム・セクションの動きは速めの4ビートからワルツに。オクターヴ奏法を駆使したピアノ・プレイと、バディ・リッチを彷彿とさせる抜群にクリアーなハイハット・プレイが見事に調和します。その後トムとサイモンがソロでばっちり神業を披露し、テーマに戻ってエンディングか・・・と思いきや、「まだ弾き足りない」とばかりにマイクがステージ中央やや左側に登場、小曽根と向かい合いながら壮絶なソロの応酬を繰り広げました。これぞライヴの醍醐味、この1曲で全オーディエンスはたまらない満足感を味わったはずです。
が、2曲目以降もまた、とんでもない聴きものでした。普段あまり耳にするチャンスのない小曽根のファンキー&ワイルドなオルガンが炸裂した「Avenue B」のあとは、ジェイムズ・ブラウン「Get It Together」風リフを用いたアップ・テンポのジャムへ。「この先、どう展開するのか」と思っていると、ゆるやかにテンポが落ちて近年の代表曲「All You Need」につながります。この展開には意表をつかれました。もちろんマイクはギターとスキャットのユニゾンをたっぷり披露、オーラスではジミ・ヘンドリックスの有名なブルース「Red House」の弾き語りも聴かせてくれました。
公演は19日(火曜日)まで休みなく続きます。5日間、10ステージという長期公演ですが、毎セットが興奮に包まれること間違いありません。じめじめした梅雨のムードを、痛快なライヴ・パフォーマンスで吹き飛ばしましょう。
(原田 2018 6.16)
Photo by Yuka Yamaji
2018 6.15 FRI.
1st | |
---|---|
1. | OUT OF THE BLUE |
2. | KT |
3. | ALL YOU NEED |
4. | I BELIEVE YOU |
5. | TRIP |
EC. | RED HOUSE |
2nd | |
1. | HALF CRAZY |
2. | AVENU B |
3. | ALL YOU NEED |
4. | WHAT MIGHT HAVE BEEN |
5. | CHROMAZONE |
EC. | RED HOUSE |