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HOLLY COLE @BLUE NOTE TOKYO

artist HOLLY COLE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

カナダが世界に誇る人気シンガー、ホリー・コールのブルーノート東京公演が昨日から始まりました。なんと今回が5年ぶりの登場です。極上のバック・ミュージシャン、極上の選曲、そしていうまでもなく極上のヴォーカル。いくつもの"極上"が、かけがえのないひとときを運びます。

オープニングは彼女の名を不動のものにした作品『Blame It on My Youth』から、「Trust in Me」。しばらくアーロン・デイヴィスのピアノだけをバックに歌った後、実にさりげなくジョージ・コラーのベースとベン・ライリー(セロニアス・モンクのバンドにいた奏者とは同名異人)のドラムスが合流します。ベンは手のひらをつかって、まるでボンゴを叩くように楽器を演奏します。けだるいラテン・リズム、レイジーな歌唱に、1950年代の名歌手ジュリー・ロンドンが残したラテン系レコーディングを思い出したのはぼくだけではないでしょう。エンディングではコラーがベースの胴体を、アーロンがピアノの胴体を叩き、バンドはちょっとしたパーカッション・アンサンブルになりました。

妖艶な空気を漂わせた後は、ヘンリー・マンシーニの大定番「Charade」。目の覚めるようなアップ・テンポに乗ってホリーは生き生きとスウィングし、間奏ではジョニー・ジョンソンのソプラノ・サックスがフィーチャーされます。テナー・サックス、フルート、クラリネット類にも才能を発揮するテクニシャンですが、ぼくは彼の太く豊かなソプラノの音色が大好きです。コラーのベースとのデュオ「Bye Bye Blackbird」でのホリーはスキャットも盛り込みながらコケティッシュな表情を示し、今ではあまり歌われなくなった「Me and My Shadow」(ローズ・マーフィの歴史的録音があります)を小粋なアレンジで現在に蘇らせるセンスも抜群です。

リッキー・リー・ジョーンズやシンディ・ローパーを手がけた重鎮プロデューサー、ラス・タイトルマンと組んだ最新作『Holly』からのナンバーも、もちろん聴かせてくれました。"酔いどれ伊達男"ディーン・マーティンのテーマ・ソング「Everybody Loves Somebody」も、見事ホリー節に再生。女性ヴォーカルで聴くこの曲も、実に味わい深いです。後半ではドリス・デイやスライ&ファミリー・ストーンがとりあげた「Que Sera Sera」に三連音符を生かしたアレンジを施してノリノリで歌い(ドリスのアメリカン・ホーム・ドラマ的な明るさとスライのファンキーな感じを足して割り、さらに現代のテイストをふりかけた感じ)、スモーキー・ロビンソンの名曲でディアンジェロもカヴァーした「Cruisin'」では各メンバーのソロもたっぷり挿入しつつ、場内を大いに盛り上げました。

さまざまな時代に生まれたさまざまな名曲を、丁寧に丁寧に歌い届けるホリー。いうまでもなく「Calling You」も登場します。いい歌、いい音楽に満たされたければ、この公演は必見必聴です。ライヴは15日まで続きます。

(原田 2018 7.13)

Photo by Yuka Yamaji


●HOLLY COLE
2018 7.12 thu., 7.13 fri., 7.14 sat., 7.15 sun. ブルーノート東京
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2018 7.17 tue. 名古屋ブルーノート
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SET LIST

2018 7.12 THU.
1st
1. TRUST IN ME
2. CHARADE
3. GET OUT OF TOWN
4. CRY
5. THEY CAN’T TAKE THAT AWAY FROM ME
6. BYE BYE BLACK BIRD
7. ME AND MY SHADOW
8. WE’VE GOT A WORLD THAT SWINGS
9. DOWN, DOWN, DOWN
10. EVERYBODY LOVERS SOMEBODY SOMETIMES
11. I’M BEGINNING TO SEE THE LIGHT
12. QUE SERA, SERA
13. CALLING YOU
EC. CRUSIN’
 
2nd
1. TRUST IN ME
2. CHARADE
3. GET OUT OF TOWN
4. CRY
5. THEY CAN’T TAKE THAT AWAY FROM ME
6. BYE BYE BLACK BIRD
7. ME AND MY SHADOW
8. WE’VE GOT A WORLD THAT SWINGS
9. YOU’VE GOT A SECRET
10. DOWN, DOWN, DOWN
11. EVERYBODY LOVERS SOMEBODY SOMETIMES
12. AIN’T THAT A KICK IN THE HEAD
13. QUE SERA, SERA
14. CALLING YOU
EC. CRUSIN’

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