7.11 wed. @cafe104.5 / 7.12 thu., 7.13 fri., 7.14 sat., 7.15 sun. @Blue Note Tokyo / 7.17 tue. @Nagoya Blue Note
HOLLY COLE @BLUE NOTE TOKYO
artist HOLLY COLE
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
カナダが世界に誇る人気シンガー、ホリー・コールのブルーノート東京公演が昨日から始まりました。なんと今回が5年ぶりの登場です。極上のバック・ミュージシャン、極上の選曲、そしていうまでもなく極上のヴォーカル。いくつもの"極上"が、かけがえのないひとときを運びます。
オープニングは彼女の名を不動のものにした作品『Blame It on My Youth』から、「Trust in Me」。しばらくアーロン・デイヴィスのピアノだけをバックに歌った後、実にさりげなくジョージ・コラーのベースとベン・ライリー(セロニアス・モンクのバンドにいた奏者とは同名異人)のドラムスが合流します。ベンは手のひらをつかって、まるでボンゴを叩くように楽器を演奏します。けだるいラテン・リズム、レイジーな歌唱に、1950年代の名歌手ジュリー・ロンドンが残したラテン系レコーディングを思い出したのはぼくだけではないでしょう。エンディングではコラーがベースの胴体を、アーロンがピアノの胴体を叩き、バンドはちょっとしたパーカッション・アンサンブルになりました。
妖艶な空気を漂わせた後は、ヘンリー・マンシーニの大定番「Charade」。目の覚めるようなアップ・テンポに乗ってホリーは生き生きとスウィングし、間奏ではジョニー・ジョンソンのソプラノ・サックスがフィーチャーされます。テナー・サックス、フルート、クラリネット類にも才能を発揮するテクニシャンですが、ぼくは彼の太く豊かなソプラノの音色が大好きです。コラーのベースとのデュオ「Bye Bye Blackbird」でのホリーはスキャットも盛り込みながらコケティッシュな表情を示し、今ではあまり歌われなくなった「Me and My Shadow」(ローズ・マーフィの歴史的録音があります)を小粋なアレンジで現在に蘇らせるセンスも抜群です。
リッキー・リー・ジョーンズやシンディ・ローパーを手がけた重鎮プロデューサー、ラス・タイトルマンと組んだ最新作『Holly』からのナンバーも、もちろん聴かせてくれました。"酔いどれ伊達男"ディーン・マーティンのテーマ・ソング「Everybody Loves Somebody」も、見事ホリー節に再生。女性ヴォーカルで聴くこの曲も、実に味わい深いです。後半ではドリス・デイやスライ&ファミリー・ストーンがとりあげた「Que Sera Sera」に三連音符を生かしたアレンジを施してノリノリで歌い(ドリスのアメリカン・ホーム・ドラマ的な明るさとスライのファンキーな感じを足して割り、さらに現代のテイストをふりかけた感じ)、スモーキー・ロビンソンの名曲でディアンジェロもカヴァーした「Cruisin'」では各メンバーのソロもたっぷり挿入しつつ、場内を大いに盛り上げました。
さまざまな時代に生まれたさまざまな名曲を、丁寧に丁寧に歌い届けるホリー。いうまでもなく「Calling You」も登場します。いい歌、いい音楽に満たされたければ、この公演は必見必聴です。ライヴは15日まで続きます。
(原田 2018 7.13)
Photo by Yuka Yamaji
●HOLLY COLE
2018 7.12 thu., 7.13 fri., 7.14 sat., 7.15 sun. ブルーノート東京
2018 7.17 tue. 名古屋ブルーノート
2018 7.12 THU.
1st | |
---|---|
1. | TRUST IN ME |
2. | CHARADE |
3. | GET OUT OF TOWN |
4. | CRY |
5. | THEY CAN’T TAKE THAT AWAY FROM ME |
6. | BYE BYE BLACK BIRD |
7. | ME AND MY SHADOW |
8. | WE’VE GOT A WORLD THAT SWINGS |
9. | DOWN, DOWN, DOWN |
10. | EVERYBODY LOVERS SOMEBODY SOMETIMES |
11. | I’M BEGINNING TO SEE THE LIGHT |
12. | QUE SERA, SERA |
13. | CALLING YOU |
EC. | CRUSIN’ |
2nd | |
1. | TRUST IN ME |
2. | CHARADE |
3. | GET OUT OF TOWN |
4. | CRY |
5. | THEY CAN’T TAKE THAT AWAY FROM ME |
6. | BYE BYE BLACK BIRD |
7. | ME AND MY SHADOW |
8. | WE’VE GOT A WORLD THAT SWINGS |
9. | YOU’VE GOT A SECRET |
10. | DOWN, DOWN, DOWN |
11. | EVERYBODY LOVERS SOMEBODY SOMETIMES |
12. | AIN’T THAT A KICK IN THE HEAD |
13. | QUE SERA, SERA |
14. | CALLING YOU |
EC. | CRUSIN’ |