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LISA ONO with special guests PAULO JOBIM & DANIEL JOBIM "Celebrating the 60th Anniversary of Bossa Nova"

artist DANIEL JOBIM , PAULO JOBIM , 小野リサ

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

なんて清涼感あふれるサウンドなのでしょう。その音に耳を傾けていると体感温度が下がり、実に穏やかな気分になります。

ブルーノート東京の常連ミュージシャンのひとりである小野リサが、ボサ・ノヴァ誕生60周年を祝うステージを昨日から開催しています。しかもスペシャル・ゲストに、ボサ・ノヴァの楽聖アントニオ・カルロス・ジョビンのDNAを継承するパウロ・ジョビン(息子)、ダニエル・ジョビン(孫)を迎えてのプレミアム級のライヴです。三者が顔を合わせたアルバム『The music of Antonio Carlos Jobim "IPANEMA"』から10年余り、実に嬉しい再会です。アコースティック・ギターの弾き語りがトレードマークの小野リサですが、今回はギターをパウロにまかせてヴォーカルに専念。有名曲から通好みのナンバーまで、多彩なプログラムで楽しませてくれました。

「Só Danço Samba」、「Bim Bom」、「Chega de Saudade」(先日の渡辺貞夫公演でも取り上げられていました)と続くステージは、まさしくボサ・ノヴァ・ソングブックといった趣です。「Bim Bom」はアントニオではなくジョアン・ジルベルトの作曲ですが、この曲が「Chega de Saudade」と続けてプレイされたのにもこだわりがあります。1958年7月、まさしく今からちょうど60年前にブラジルで発売された"初のボサ・ノヴァ・レコード"(ジョアン・ジルベルト歌唱)こそ、上記2曲をカップリングしたシングル盤だったのです。

史上初めて"ボサ・ノヴァ"という言葉を歌詞に織り込んだ「Desafinado」、リオのシンボル=キリスト像が立つコルコヴァードの丘のふもとの部屋での恋人たちを描いた「Corcovado」、そして世界一有名なアントニオの楽曲でしょう「Garota de Ipanema」(イパネマの娘)と、王道をいく定番が次々と目の前で奏でられていきます。末娘(つまりパウロの妹)に捧げた「Luiza」、ジャヴァンも歌った「A Correnteza」など比較的後期に作られたナンバーが聴けたのも収穫でした。

小野リサの軽やかな歌声、粒立ちの良いパウロのギター、ジャズへの深い愛情を感じさせるダニエルのピアノが生み出す快い一体感。先日はフランスのマエストロ、ミシェル・ルグランが来日して飛び切りの自作自演を聴かせてくれましたが、この日はブラジルのマエストロ、アントニオ・カルロス・ジョビンの血を受け継ぐ面々がアントニオゆかりのナンバーを目の前で次々と料理してくれるのです。我が国の音楽ファンは本当に恵まれている、そういっていいでしょう。

オーラスではアメリカのシンガー・ソングライター=マイケル・フランクスが書いたトリビュート曲「Antonio's Song」、そのフランクスがアルバム『Rendezvous in Rio 』でカヴァーしたパウロ作「Samba do Soho」(アントニオは'87年の作品『Passarim』でとりあげています)を披露。超満員のファンは快い余韻に包まれながら、クラブを後にしました。公演は23日まで続きます。

(原田 2018 7.21)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2018 7.20 FRI.
1st
1. SO DANCE SAMBA
2. BIM BOM
3. CHAGA DE SAUDADE
4. DESAFINADO
5. CORCOVADO
6. GARATO DE IPANEMA
7. WAVE
9. BONITA
10. A CORRENTEZA
11. MARIA E DIA
12. A FELICIDADE
13. AGUA DE BEBER
14. AGUAS DE MARCO
EC. MARIA E DIA
2nd
1. SO DANCE SAMBA
2. BIM BOM
3. CHAGA DE SAUDADE
4. DESAFINADO
5. CORCOVADO
6. GARATO DE IPANEMA
7. WAVE
9. BONITA
10. A CORRENTEZA
11. MARIA E DIA
12. A FELICIDADE
13. AGUA DE BEBER
14. AGUAS DE MARCO
EC1. ANTONIO’S SONG
EC2. MARIA E DIA

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