2018 7.31 tue., 8.1 wed., 8.2 thu.
SEUN KUTI & EGYPT 80
artist SEUN KUTI
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
マグマのように熱く波打つサウンドが夏の東京を彩っています。"アフロ・ビートの父"フェラ・クティのDNAを受け継ぐひとり、シェウン・クティ率いる"エジプト80"の登場です。
シェウンは1982年にナイジェリアで生まれました。やはりアフロ・ビートを継承・発展させているフェミ・クティは異母兄にあたり、20歳もの年齢差があります。フェラは一度も来日しないまま1997年に亡くなってしまいましたが、ブルーノート東京では2003年にフェミのライヴが行なわれ、その後は米国産アフロ・ビートの旗手"アンティバラス"の公演も二度開催されています。そして今回、満を持してシェウンがステージに登場しました。ダンサーも含む大所帯によるパフォーマンスは、見ても聴いても踊っても120%の満足を与えるに違いないものです。押し寄せてくるようなアンサンブル、重厚なポリリズム、ホットなメッセージに富んだ歌詞を、汗だくになって伝えるメンバーたち。全身で音を浴びるカタルシスに包まれました。
バンド演奏の「Kuku Kee Me」(最新作『ブラック・タイムズ』収録曲)が終わった後、"プレゼンテッド・バイ・カラクタ・リパブリック"、"ワン&オンリー"、"チャンピオン"といった言葉と共にシェウンが紹介されます。ステージにかけあがるとほぼ同時に始まったのは「Pansa,Pansa」。父フェラの代表曲のひとつです。フェラは歌の合間にテナー・サックスを吹きましたが、シェウンはアルト・サックス、ヴォ―カル、キーボードを担当します。背が高く、歌⇔楽器の切り替えがものすごく速いです。大評判の『ブラック・タイムズ』からはさらに「Corporate Public Control Department (C.P.C.D.)」「Bad Man Lighter (B.M.L.)」「Struggle Sounds」などが次々とプレイされました。腰に響くバリトン・サックスの重低音、メイクやコスチュームも見事な女性ダンサー&コーラス陣、4名の打楽器奏者が織りなす強烈なビートなどが一丸となってシェウンの演唱をプッシュします。打楽器奏者たちは、いわゆる持ち替えをしません。オコン・イヤンバはワン・ステージじゅうシェケレ(西アフリカ起源の楽器で、ひょうたんの周りにビーズや貝などを通した網を張る)を振って、しかもほとんどの時間、それを左手だけでドリブルをするように操り、右手は拳をつきあげています。フェラのバンド(アフリカ70、エジプト80)にも在籍経験のあるワレ・トリオラは、長方形の木製の打楽器を棒でひたすら打ち付け、晩年のフェラと共演したことのあるコラ・オナサンヤはその名も"ジャイアント・コンガ"に全神経を注ぎます。とにかく誰も彼も、尋常ではない音の太さです。
公演は2日まで行なわれます。今回のヴェニュー(演奏会場)はブルーノート東京のみ、夏フェスへの出演は一切ありません。シェウン・クティ&エジプト80による、魂のパフォーマンスをぜひご堪能ください!
(原田 2018 8.1)
Photo by Tsuneo Koga
2018 7.31 TUE.
1st & 2nd | |
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1. | KUKU KEE ME |
2. | PANSA PANSA |
3. | CORPORATE PUBLIC CONTROL DEPARTMENT (C.P.C.D.) |
4. | BAD MAN LIGHTER (B.M.L.) |
5. | STRUGGLE SOUNDS |
6. | BLACK TIMES |
7. | THEORY OF GOAT AND YAM |