2018 8.5 sun., 8.6 mon., 8.7 tue., 8.8 wed.
THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA directed by SCOTTY BARNHART featuring CARMEN BRADFORD
artist COUNT BASIE ORCHESTRA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ビッグ・バンド・ジャズの醍醐味を伝えるプログラムが続きます。金・土は本田雅人B.B.Stationが鮮やかなパフォーマンスを楽しませてくれましたが、昨日からはカウント・ベイシー・オーケストラのステージが行なわれています。今年で結成83年、ブルー・デヴィルズやベニー・モーテン・オーケストラなど前身バンドも含めると約90年の歴史を持つ老舗です。コンダクターはトランペット奏者のスコッティ・バーンハート。今回も「April in Paris」「One O'Clock Jump」「Li'l Darlin'」といった大定番と通好みのレパートリーをバランスよく織り交ぜながら、2018年の夏に痛快なベイシー・サウンドを響かせます。
オープニングはサミー・ネスティコ作編曲の「Magic Flea」。不滅のベスト・セラー・アルバム『ベイシー・ストレイト・アヘッド』(1968年)からのナンバーです。フィーチャーされるのはダグ・ミラーのテナー・サックス、ロバート・ブーンのドラムス、グレン・ピアソンのピアノ。ピアソンのプレイはベイシー風の簡潔さを保ちつつ、そこに拡がりのあるハーモニー、流れるようなフレーズづくりを加えたもので、聴きどころに満ちています。
選曲では、ビリー・バイアーズ作編曲の「Brand X」にも大いに驚かされました。'64年の隠れ名盤『ベイシー・ランド』に「Rabble Rouser」というタイトルで収められていたナンバーです。バイア―ズはフランク・シナトラお気に入りのアレンジャーのひとりであり、トロンボーン奏者としても抜群の実力の持ち主であるのですが、どちらかというと過小評価気味です。こうした楽曲が今の世に蘇る嬉しさ、"スウィングは永遠なり!"と高らかに宣言するかのようなパフォーマンスに、ぼくは胸のすく思いを味わいました。
中盤でスコッティは、9月にリリースされる新作『オール・アバウト・ザット・ベイシー』に関する情報も教えてくれました。スティーヴィー・ワンダー、テイク6、カート・エリングなどのゲストも参加した豪華な内容になるのだそうです。ライヴではこの中からスティーヴィーの名曲「My Cherie Amour」を披露。ベイシー・オーケストラは御大存命中からビートルズ作品集やジェームス・ボンド(007)ソングブックを制作し、さらに'70年の『アフリーク』ではアルバート・アイラーやガボール・サボの曲も演奏している万能集団ですが、この日の「My Cherie Amour」も絶品でした。ゆったりしたビート、柔らかなブラスの響きが、甘美なメロディの魅力を倍加します。
そして今回の公演には、先のニュー・アルバムでも歌っているカーメン・ブラッドフォードが帯同しました。オーネット・コールマンやネルス・クラインとの共演で知られるコルネットの重鎮ボビー・ブラッドフォードを父に持ち、ベイシー楽団には'83年に初めて参加しています。この日、彼女が歌ったナンバーでは「'Deed I Do」「Honeysuckle Rose」が特に印象に残りました。どちらもエラ・フィッツジェラルドとベイシー楽団の共演盤『エラ&ベイシー』('63年)に収められている曲。カーメンはエラのヴァージョンに表敬しつつ、豊かな声量で歌詞のひとことひとことを朗々と歌いあげていきます。
来年は創設者ベイシーの生誕115&没後35周年。この名門オーケストラはさらにあらゆる場所で引っ張りだこになるでしょう。公演は8日まで休みなく続きます。スコッティによれば「定番曲以外のセット・リストは毎回入れ替える」とのこと、王道ビッグ・バンドの響きを浴びに、一度とは言わず何度もいらしてください!
(原田 2018 8.6)
Photo by Yuka Yamaji
2018 8.5 SUN.
1st | |
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1. | THIS COULD BE THE START |
2. | WHO, ME? |
3. | 920 SPECIAL |
4. | WHAT KIND OF FOOL AM I? |
5. | BLUES FOR STEPHANIE |
6. | DOODLE OODLE |
7. | HONEYSUCKLE ROSE |
8. | YOUNG AND FOOLISH |
9. | GOODY GOODY |
10. | ANOTHER YOU |
11. | THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU |
12. | BLUES IN HOSS’ FLAT |
13. | ILL WIND |
14. | I WISH YOU LOVE |
15. | BASIE |
16. | ONE O’ CLOCK JUMP |
EC. | APRIL IN PARIS |
2nd | |
1. | THE MAGIC FLEA |
2. | FOUR FIVE SIX |
3. | BRAND X |
4. | MY CHERIE AMOUR |
5. | I NEED TO BE BEE’D WITH |
6. | THE WIND MACHINE |
7. | DEED I DO |
8. | ILL WIND |
9. | I WISH YOU LOVE |
10. | LIL’ DARLIN’ |
11. | WAY OUT BASIE |
12. | BASIE POWER |
13. | YOUNG AND FOOLISH |
14. | HONEYSUCKLE ROSE |
15. | BASIE |
16. | ONE O’ CLOCK JUMP |
EC. | APRIL IN PARIS |