2018 8.24 fri., 8.25 sat., 8.27 mon., 8.28 tue.
AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
祝、結成10周年!
もともと持ち合わせていた素晴らしさ・楽しさ・輝かしさ・スリルに、アニヴァーサリーのマジックが加わって、とんでもない高揚感です。矢野顕子、ウィル・リー、クリス・パーカーの黄金トリオの初日ファースト・セットを楽しんだぼくは、いつもよりもさらに満ち足りた気分で余韻にひたりました。
10周年ライヴ開催にあたって、矢野顕子のウェブサイトでは事前に"このトリオで聴いてみたい曲"を募りました。オープニングは、その第1位に輝いた「CHILDREN IN THE SUMMER」。'93年作品『LOVE IS HERE』に入っていたナンバーです。子供たちの楽しそうな声が冒頭に流れ、やがて三者一体となったパフォーマンスへと移ります。途中にチャーリー・パーカーの演奏で知られる「Cheryl」のメロディを挿入、4ビートのブルース・コードでスウィングするパートも含みながら演奏は進み、ラスト近くでは矢野のスキャット&ピアノのユニゾン・プレイが炸裂。ジャンルもカテゴリーも飛び越えた音楽の気持ち良さを伝えた後、'60年代の全米ヒット「1-2-3」へと移ります。レン・バリーが歌ったオリジナル・ヴァージョンは、ちょっとデトロイト・ソウル風のタテ乗りのリズムが印象的でしたが、矢野顕子トリオは横乗りというか、浮遊感あふれる音作りで聴く者を包み込みます。ヴォーカルは矢野とウィルが交互で担当。ふたりの個性的なヴォーカリストを擁しているのも、このトリオの大きな強みといえましょう。なお、この曲は前述アンケートで2番目の得票数だったそうです。通好みというか、すごく熱心に音楽を聴き込んでいらっしゃるというか。このトリオは、そんな"違いのわかるリスナー"に支持されているのです。
ほかにもセットリストには、オヤと驚かされるようなレア曲、さすがの定番などがギッシリつまっています。'89年のアルバム『ウェルカム・バック』からの「悩む人」は予想の斜め上を行く選曲といえましょう。ベースとドラムがうねり、からみあいながら、矢野のヴォーカルを鼓舞します。「毎回歌いたいぐらい好きな曲」だという「Welcome to Jupiter」は2016年にリリースされた傑作のタイトル・ナンバー。ヴォーカルもさることながら、ウィルの歪みまくるベース、2つのタムタム・2つのスネア・2つのフロアタムという独自のセットを駆使したクリスのドラムスにも思いっきり耳が引き付けられました。
前回の公演でも好評だった「Whole Lotta Love」でステージを降りた3人ですが、怒涛のような拍手と声援は鳴りやみません。3人が再びステージに上がると同時に、10周年を祝うケーキが運ばれてきました。3人仲良くローソクの炎を消し、ニッコリした後に始まったのは「ごはんができたよ」。ユーモラスな歌詞、どこか津軽民謡調のメロディ、マレットを用いたクリスのドラムスなどが一体となって、場内をさらなる興奮へと導きました。
「このトリオは三角形。誰ひとり欠けても成立しない」。矢野顕子がMC中に語った通りの関係性がこの3人にはあります。公演最終日の28日にはライヴ・レコーディングも行われましたが(もちろん矢野顕子トリオ初の快挙)、目の前で動いている実物を見るリアリティは格別です!
(原田 2018 8.29)
Photo by Yuka Yamaji
2018 8.24 FRI.
1st | |
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1. | CHILDREN IN THE SUMMER |
2. | 1-2-3 |
3. | 悩む人 |
4. | WELCOME TO JUPITER |
5. | WHEN I DIE |
6. | SOMEDAY WE’LL ALL BE FREE |
7. | REACH OUT |
8. | WHOLE LOTTA LOVE |
EC. | ごはんができたよ |
2nd | |
1. | CHILDREN IN THE SUMMER |
2. | 1-2-3 |
3. | 悩む人 |
4. | WELCOME TO JUPITER |
5. | WHEN I DIE |
6. | SOMEDAY WE’LL ALL BE FREE |
7. | REACH OUT |
8. | WHOLE LOTTA LOVE |
EC1. | ごはんができたよ |
EC2. | YES-YES-YES |
EC3. | いもむしごろごろ |