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STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2018 featuring MICHAEL LANDAU, KEVIN HAYS, JIMMY JOHNSON & WALT FOWLER

artist MICHAEL LANDAU , STEVE GADD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ドラム界の頂点に立つカリスマが、今年も気心の知れた仲間たちと日本に来てくれました。スティーヴ・ガッド・バンド、まさしく貫録のパフォーマンスです。

メンバーは前回来日時と同じく、ウォルト・フォウラー(フリューゲルホーン、トランペット)、マイケル・ランドウ(ギター)、ジミー・ジョンソン(ベース)、ケヴィン・ヘイズ(フェンダー・ローズ、アコースティック・ピアノ、ヴォーカル)という面々。全員が超売れっ子であり、スケジュールを合わせるのもひと苦労だと思いますが、ステージ上の彼らは何十年も毎日共演してきたかのように息を合わせ、本当に楽しそうに演奏に没頭します。レパートリーからカヴァー曲が減り、メンバー書き下ろしによるナンバーが増えたのも、この5人が生み出す"バンド感"の高まりに貢献しているのは間違いないことでしょう。

レパートリーはジミーの書いた「Norma's Girl」、ケヴィンがフェンダー・ローズを弾き語る「Spring Song」、カウベルを活用したガッドのドラム・ワークが光り輝く「One Point Five」など、3年ぶりのスタジオ・レコーディングにあたる最新作『Steve Gadd Band』からの楽曲を軸に、これまでの人気曲も交えたバランスの良い仕上がり。個人的には、結成当初からのレパートリー「Green Foam」が聴けたのも嬉しかったです。というのも、この曲ではいつもマイケルのギターが大きくフィーチャーされて、まるでブルースとジャズとロックのいいとこどりをしたような、かっこよさ満載の熱いソロを聴かせてくれるからです。アーミングやチョーキングの導入、巧みなトーン・コントロールから紡ぎ出されるプレイは、まるで人間がすすり泣いているかのよう。この"泣き"のフレーズにガッドの重量級ドラムが呼応し、観客の興奮はいやがおうにも高まるというわけです。

それにしてもガッドの叩きっぷりは華やかで鮮やかです。メロディ・ラインをそっと引き立てるソフトなプレイから、ソリストを容赦なく煽る火の出るようなスティックさばきまで、音量の幅は驚異的な広さを持ち、しかも音の粒立ちがいかなるときも際立っています。このバンドのライヴは9日まで休みなしで続きますが、さらに嬉しいことに、ガッドは22日と23日に行なわれる桑原あいの公演にもウィル・リーと共に参加します。つまり今月はブルーノート東京で2種類のフォーマットによるガッドが味わえる「ガッド・マンス」なのです。無論どちらの公演も必見必聴、73歳になろうとする現在もなおストロングなガッドの至芸に、思いっきり爽快な気分になっていただけたらと思います。

(原田 2018 9.7)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2018 9.6 thu.
1st
1. WHERE'S EARTH?
2. I KNOW, BUT TELL ME AGAIN
3. THE LONG WAY HOME
4. GREEN FOAM
5. ONE POINT FIVE
6. AUCKLAND BY NUMBERS
7. WAY BACK HOME
8. DUKE'S ANTHEM
9. THE WIND UP
EC. WATCHING THE RIVER FLOW
 
2nd
1. WHERE'S EARTH?
2. I KNOW, BUT TELL ME AGAIN
3. CAVALIERO
4. GREEN FOAM
5. ONE POINT FIVE
6. NORMA'S GIRL
7. OH, YEAH!
8. SPRING SONG
9. SLY BOOTS
EC. BLUES FOR...

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