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ARTURO SANDOVAL with special guest JANE MONHEIT

artist ARTURO SANDOVAL , JANE MONHEIT

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

2013年に大統領自由勲章受章。10度のグラミー賞に輝く超大御所、アルトゥーロ・サンドヴァルが今年も元気に登場中です。超絶的なトランペット・プレイだけではなく、ユーモラスな歌、キーボード(彼はピアノに専念したアルバムを出すほどの腕前です)、パーカッションなども演奏しながら、会場をとことんまで盛り上げていきます。

オープニングは4ビートのブルース・ナンバー。'50年代のモダン・ジャズをサンドヴァル流に解釈したもの、という感じです。彼は前半で輝かしいトランペットを聴かせ、サックスやベースのソロを挟んでから、こんどはスキャットで陽気さをふりまきます。その歌唱はルイ・アームストロングともディジー・ガレスピーとも異なり、どちらかというと"マンブルズ"と呼ばれたクラーク・テリーのスキャットを彷彿とさせます。そしてラスト部分ではジューズ・ハープ(口琴、「ど根性ガエル」のイントロに出てくる楽器です)をビョーンと鳴らし、オーディエンスから笑い声と盛大な拍手を引き出します。

かと思えば、「Line for Lyons」では実に端正なプレイを展開。これは'50年代前半にバリトン・サックス奏者のジェリー・マリガンが、トランペット奏者のチェット・ベイカーと組んだバンドで発表した楽曲ですが、サンドヴァルはマイク・タッカー(テナー・サックス)とのデュオで1コーラスを吹き、やがてバンド全員の合奏へとつなげていきます。

続いてはスペシャル・ゲスト、ジェーン・モンハイトの登場です。ニューヨーク・ヴォイセズのピーター・エルドリッジに師事、'99年に権威あるセロニアス・モンク・コンペティションに入賞したのち、2000年にファースト・アルバムをリリースしました。いまやベテランの域に達した彼女ですが、歌声はさらにしっとり艶やかになり、さらなる充実が伝わってきます。この日彼女が歌ったのは、サンドヴァルの最新作『Ultimate Duets』から「After All」、「People」、「Don't You Worry 'bout a Thing」。「After All」でのサンドヴァルは、まるでフリューゲルホーンのような太く優しい音色でジェーンの歌声に寄り添い、「People」ではミュートを用いて語りかけるようなソロを聴かせてくれました。

ほかにも聴きどころ、盛り上がりどころいっぱい。エンターテイナーとしても円熟を極めるサンドヴァルの世界をお見逃しなく!

(原田 2018 9.12)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2018 9.11 tue.
1st & 2nd
1. BLUES IN B FLAT / FUNK JAM
2. LINE FOR LYONS
3. AFTER ALL
4. PEOPLE
5. DON’T YOU WORRY BOUT A THING
EC. NIGHT IN TUNISIA

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