2019 1.16 wed., 1.17 thu., 1.18 fri., 1.19 sat., 1.20 sun.
PAT METHENY "SIDE EYE" with JAMES FRANCIES & NATE SMITH
artist PAT METHENY
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
1月のブルーノート東京は、ほぼ"パット・メセニー・アーティスト・イン・レジデンス"状態です。7日と8日にブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロとコラボレーションを行ない、11日から14日にかけてはリンダ・メイ・ハン・オウ、グウィリム・シムコックと"A NIGHT OF DUOS & TRIOS"と題するセットで魅了しました。そして15日からは、また別のプロジェクト"SIDE EYE"で驚愕のパフォーマンスを繰り広げています。
共演メンバーは名門ブルーノート・レーベルからファースト・アルバム『Flight』が発売されたばかりのキーボード奏者ジェイムズ・フランシーズ、2017年リリースのソロ作『Kinfolk: Postcards from Everywhere』ではプロデューサー/ソングライターとしても溢れるセンスを示したドラマーのネイト・スミスという、あまりにも魅力的で刺激的なふたりです。パットがこうした編成で演奏するのは、ジャック・ディジョネットのプロジェクトにハービー・ハンコックとともに参加した『Parallel Realities』(1990年)以来でしょうか。パットはネイトを"現代の最も偉大なドラマーのひとり"、ジェイムズに関しては"まるで別の惑星からの来訪者のようだ。こんな才能には今まで出会ったことはない"と紹介しました。
3人が観客の前で演奏するのは16日のファースト・セットが初めてだったようですが、世代は異なるとはいえ誰もがマスター・ミュージシャンです。密度の濃い時間に引き込んでくれることは間違いないところです。とくにアコースティック・ピアノ、オルガン、シンセサイザー等を操るジェイムズの弾きっぷりは大変な見もの、聴きものになることでしょう。ジャズに鍵盤楽器が用いられて百数十年、"右手のメロディ・ラインに対し、左手はどんなバッキングやラインをつけてゆくか"は奏者たちにとって永遠の課題なのではないか、と、個人的には思っています。伝説的なアート・テイタム、ジャキ・バイアード、リチャード・グルーヴ・ホームズからここ四半世紀ではソウライヴのニール・エヴァンス(バイアードの教え子)、クレイグ・テイボーンまで"目の覚めるような左手の持ち主"は数々いますが、ジェイムズは左手によるベース・ラインをいきなり新たなディメンションに突入させてしまった・・・それがぼくの印象です。
セットリストに関してはこれまでのパットのライヴ同様、当日会場にいらした方のお楽しみになると思いますが、「Jaco」が演奏されたときには特に大きな歓声が巻き起こりました。パット・メセニー・グループが1978年に発表したファースト・アルバム(邦題『想い出のサン・ロレンツォ』)に収められていた、当時人気絶頂のベース奏者でパットの盟友でもあるジャコ・パストリアスに捧げられたナンバーが本当に久々にレパートリーに加えられたのです。多くのファンが"ベーシストにちなんだ曲が、ベースレス・トリオではこのように解釈されるのか"という驚きを味わったのではないでしょうか。
押しも押されもせぬ超大御所であるパットが次世代の逸材に注目し、満場のオーディエンスにジェイムズやネイトの才能を紹介したことをとても嬉しく思います。この3人による"音の会話"は20日まで続きます。そしてジェイムズは、21日から行なわれるブルーノート・レーベル80周年記念公演「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」の初日にゲスト参加することも決定しています。
(原田 2019 1.17)
Photo by Takuo Sato
2019 1.16 WED.
1st | |
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1. | TURNAROUND |
2. | SO MAY IT SECRETLY BEGIN |
3. | JACO |
4. | BETTER DAYS AHEAD |
5. | ALWAYS AND FOREVER |
6. | TIMELINE |
7. | FARMER TRUST |
8. | 6/4 |
9. | TAF |
10. | WHEN WE WERE FREE |
2nd | |
1. | TURNAROUND |
2. | SO MAY IT SECRETLY BEGIN |
3. | STRASHORN |
4. | THE GOOD LIFE |
5. | CASS |
6. | THE RED ONE |
7. | NEVER TOO FAR AWAY |
8. | TRAVELS |
9. | QUESTION AND ANSWER |