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The EXP Series #24 / LAWRENCE

artist LAWRENCE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ソウル・ミュージックやポップスが好きで好きでたまらない・・・そんな気持ちが伝わる熱くカジュアルなステージです。ニューヨークを拠点とする気鋭グループ"ローレンス"が待望の初来日公演を行なっています。

中心人物はキーボードとヴォーカルのクライド(今年25歳)とヴォーカルのグレイシー(今年22歳)のローレンス兄妹。映画監督・脚本家・プロデューサーのマイク・ローレンス(ヒュー・グラントとドリュー・バリモアが主演した『ラブソングができるまで』等)を父親に持つふたりは幼いころからエンタテインメントにたっぷり触れて育ち、2012年ごろからグループとしての活動を開始。2016年にギター奏者エリック・クラズノー(ソウライヴやレタスで活動。グラント・グリーンの大の信奉者)のプロデュースでファースト・フル・アルバム『Breakfast』を発表しました。そして18年には最新作『Living Room』をリリース、この2作品の収録ナンバーを中心にステージは進行しました。

クライドのヴォーカルはハスキーでスモーキー、いっぽうグレイシーはクリアで鋭いハイトーンが持ち味です。音源でも楽しめたそのコントラストが、ライヴではさらにくっきりと浮かび上がってきたところが個人的には大きな収穫でした。加えてグレイシーは、女優としても活動しているためか、とにかく表情が豊か。間奏でリズムを取ったり、兄のキーボードを聴いて微笑んでいる時などの、ふとした動きまで絵になります。高速ハンドクラップが炸裂する「Limbo」、AORやシティ・ポップの流れでも愛されそうな「Probably Up」、アーシー(土臭い)という言葉を持ち出したくなる「So Damn Fast」(クライドのソロ・アルバム『Homesick』から)など、ポップでダンサブルでキャッチーな曲が次々と続き、最新シングル「Make a Move」ではホーン・セクションと兄妹とギタリストのジョニー・コウが一斉に連続ジャンプして場内のボルテージをさらに高めます。本編ラストは「Do You WannaDo Nothing With Me?」。ぼくはユーモラスなミュージック・ビデオ(YouTubeで視聴できます)でこの曲を知って一発で気に入り、ライヴで聴くのが楽しみでこの日に至ったのですが、クライドはシャウトを加えつつ熱唱、管楽器の3人が客席におりて踊りながらリフ(短い楽句)を繰り返し演奏するところも実にエキサイティングでした。

卓越したメロディ・メイカーであると共に、カヴァー曲探しの達人であるところもまた、クライドの魅力です。アレサ・フランクリン(もちろんグレイシーがリード・ヴォーカル)やビートルズゆかりの曲に混じって、ダンスホール・レゲエの重鎮ショーン・ポールの「Get Busy」も原曲からは思いもよらない横ノリのアレンジで聴かせてくれました。"ショーンは本当に素晴らしいシンガーなんだ。家に帰ったら、ぜひ彼の歌う原曲も聴いてみてほしいね"というクライドのひとことにも、音楽シーンを切り拓いてきた先人への敬意が感じられました。

飾り気いっさいなし、元気で陽気な"ローレンス"のステージを、本日もお楽しみください!
(原田 2019 1.30)
Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2019 1.29 TUE.
  
1st
1. THE HEARTBURN SONG
2. LIMBO
3. PROBABLY UP
4. MISTY MORNING 〜 GET BACK
5. OH NO 〜 WHERE IT STARTED FROM
6. GET BUSY
7. SO DAMN FAST 〜 SHOT
8. MAKE A MOVE
9. DO YOU WANNA DO NOTHING WITH ME?
EC. (YOU MAKE ME FEEL LIKE) A NATURAL WOMAN
 
2nd
1. THE HEARTBURN SONG
2. LIMBO
3. PROBABLY UP
4. MISTY MORNING 〜 GET BACK
5. TRY 〜 MORE 〜 WHERE IT STARTED FROM
6. GET BUSY
7. SO DAMN FAST 〜 SHOT
8. MAKE A MOVE
9. DO YOU WANNA DO NOTHING WITH ME?
EC. COME ON OVER

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