2019 3.5 tue., 3.6 wed.
NATHAN EAST
artist NATHAN EAST
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ネイザン・イーストのバンド"バンド・オブ・ブラザーズ"がさらにパワーアップして、1年ぶりに戻ってきてくれました。「前回の来日公演も最高の気分だったけど、今回はそれ以上に楽しいショウをお届けするよ」と、ネイザンも気合たっぷりです。
エリック・クラプトン、スティーヴィー・ワンダー、フィル・コリンズ、ダフト・パンク等、あらゆる人気者に愛されてきた重低音はもちろん健在。しかもこのバンドではメロディをも弾きまくり、流麗な歌声も他のユニットで演奏している時以上にフィーチャーされます。今回、彼が弾いているのは、ヤマハの新型6弦ベース。ヘッドがなかったり、ボディの一部をくりぬいてある独特の形状を持っていて、音の抜けは言うまでもなく抜群です。高音部でメロディを弾く時の音の粒立ち、アンサンブルを支える時の太い低音、スラップをするときの強烈なアタックを、抜群のリアリティで味わえます。
共演メンバーは実弟のジェイムズ・イースト、ジャック・リー、マイケル・トンプソン、ケイレブ・ジェイムズ、ノリヒト・スミトモ、スティーヴ・フェローニ(元アヴェレイジ・ホワイト・バンド)と、前回同様の顔ぶれ。国籍も肌の色も超えて、音楽で強く結びついた"ブラザーズ"です。オープニングの「Lifecycle」ではネイザン、ジェイムズ、ケイレブが厚みのあるヴォーカル・ハーモニーを加え、ネイザンも在籍するスムース・ジャズ~フュージョンの超人気ユニット"フォープレイ"への提供曲でもある「101 Eastbound」ではまずネイザンがボサノヴァ・ギターのような刻みをベースで弾きこなしたあと、ジャックのメロディアスなソロ、スミトモのEWI(フルートのような音色を出していました)の快調なソロへ。さらにハービー・ハンコックの「Cantaloupe Island」でのネイザンは、ループを使って"ひとりベース・アンサンブル"を演じ、場内を沸かせました。
ネイザンの盟友であるスティーヴィー・ワンダーにちなんだ楽曲もプレイされましたが、個人的に最もエキサイトしたのはパット・メセニー・オマージュ的な「April」です。2ベース、2ギターの"弦の重なり"を、これ以上ないほど賞味できる曲といえばいいでしょうか。ジャックが前半、ギターを弾いている時のようなパット(妙な表現ですが)を彷彿とさせるトーンとフレーズで弾きまくり、つづいてマイケルがそれとは対照的といっていい、アーミングを駆使したワイルドなプレイで華やかに盛り上げます。ラストで右腕を高く掲げながら、さらなるオーディエンスからの拍手と声援を求めるあたり、まるでロック・スターです。続くケイレブのソロもまた圧巻、シンセサイザーでオルガンの音を出していましたが、一度彼のハモンド・オルガン・プレイを聴いてみたい!と思わずにいられない、シャープでいながらもコッテリしている見事な快演でした。と思ったら、ラストではふたたびジャックが登場、こんどはギター・シンセサイザーを弾いている時のパットのような音色とフレーズで、楽器を通じて歌いに歌ってくれます。
バンド・オブ・ブラザーズのライヴに接すると、誰もが彼らの兄弟姉妹になったような親しみを覚えることでしょう。公演は本日も開催されます。
(原田 2019 3.6)
Photo by Takuo Sato
2019 3.5 TUE.
1st | |
---|---|
1. | LIFECYCLE |
2. | 101 EASTBOUND |
3. | ELEVENATE |
4. | LETTER FROM HOME |
5. | APRIL |
6. | HIGHER GROUND |
7. | SIR DUKE |
EC. | MADIBA |
2nd | |
1. | LIFECYCLE |
2. | 101 EASTBOUND |
3. | CANTALOUPE ISLAND |
4. | APRIL |
5. | OVERJOYED |
6. | HIGHER GROUND |
7. | SIR DUKE |
EC. | DAFT FUNK |