2019 3.19 tue., 3.20 wed., 3.21 thu.
MADELEINE PEYROUX
artist MADELEINE PEYROUX
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
語りかけるような歌声、繊細なニュアンスに富んだサウンド作り。聴けば聴くほど、「彼女は本当に音楽をいとおしく思っているんだろうな」と痛感させられます。ジョニ・ミッチェルの作品制作で名を馳せるラリー・クラインとの共同プロデュース作品『アンセム』(昨年9月国内発売)も大好評のマデリン・ペルーが、約3年半ぶりに登場中です。
前回はジョン・ヘリントン(エレクトリック・ギター)、バラク・モリ(アコースティック・ベース)とのトリオで、ちょっと室内楽的な響きを届けてくれましたが、今回はヘリントン、アンディ・エズリン(キーボード)、ポール・フレイジャー(エレクトリック・ベース)、グラハム・ホーソーン(ドラムス)という編成。しかも皆、バック・コーラスも担当します。演奏もハモリも抜群の面々が、マデリンのもとに集まったわけです。
オープニングの「I'm All Right」から、5人一体となったサウンドが耳に届きます。ブラッシュ・ワークが打ち出すシャッフル風リズムの快感、空間をゆったりと埋めていくギターの音色、そしてバンドの音にふわりと乗ったマデリンの歌声の柔らかさ。歌い終えた後、"これは恋人の別れの曲なの。だけど、とっても前向きな別れなのよ"と、歌詞の大意をファンに伝えます。
マデリンはアコースティック・ギターだけではなく、ウクレレも弾きながら歌いました。スティーリー・ダンやボズ・スキャッグスのツアーにも参加しているヘリントンは指弾きとピック弾きを使い分け、ソロにオブリガート(合いの手)にと大活躍。デイヴィッド・サンボーンやニューヨーク・ヴォイセズのサポートでも知られるエズリンはソロ・パートにモダン・ジャズの豊かな香りを運び込みました。プログラムは「Down on Me」「On My Own」「The Brand New Deal」などニュー・アルバムからの曲が中心。と同時に、映画『ティファニーで朝食を』からの「Moon River」、バンド・メンバーがステージからおりて独りフランス語で弾き語った「J'ai Deux Amours」等、"こう来たか"と喜ばずにはいられないカヴァー曲も披露しました。"Me Too ムーヴメントに捧ぐ"と前置きして歌った、ニューオリンズR&Bの伝説的歌手リー・ドーシーの「Everything I Do Gonh Be Funky」(ルー・ドナルドソンも取り上げていましたね)のカヴァーではマデリンのファンキーでブルージーな一面が全開されます。そしてラストは、敬愛するレナード・コーエンの楽曲「Dance Me to the End of Love」をしっとりと届けてくれました。
歌の良さ、バンドの一体感、抜群の選曲センスをすべて味わえるのがマデリンのステージです。公演は21日まで続きます。
(原田 2019 3.20)
Photo by Yuka Yamaji
2019 3.19 TUE.
1st | |
---|---|
1. | I’M ALL RIGHT |
2. | OUR LADY OF PIGALLE |
3. | BETWEEN THE BARS |
4. | ON MY OWN |
5. | DOWN ON ME |
6. | LULLABY |
7. | BRAND NEW DEAL |
8. | MOON RIVER |
9. | J’AI DEUX AMOURS -SOLO- |
10. | DON’T CRY BABY -SOLO- |
11. | EVERYTHING GONH BE FUNKY |
12. | WE MIGHT AS WELL DANCE |
13. | DANCE ME TO THE END OF LOVE |
2nd | |
1. | DON’T WAIT TOO LONG |
2. | YOU’RE GONNA MAKE ME LONESOME WHEN YOU GO |
3. | LA JAVANAISE |
4. | ALL MY HEROES |
5. | I’LL NEVER GET OUT OF THIS WORLD ALIVE |
6. | IF THE SEA WAS WHISKEY |
7. | ANTHEM |
8. | ON A SUNDAY AFTERNOON |
9. | HONEY PARTY |
10. | LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG |
11. | DANCE ME TO THE END OF LOVE |
12. | CARELESS LOVE |
EC. | GETTING SOME FUN OUT OF LIFE |