2019 4.19 fri., 4.20 sat.
AKIKO WADA
artist 和田アキ子
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
シンガー・和田アキ子の真髄を満喫できるプレミアムなひととき。通算4度目となる「ブルーノート東京」公演が、2年半ぶりに開催されました。昨年は50周年コンサートを日本武道館で開催しましたが、重厚な歌唱、軽妙なトークが至近距離で楽しめる当ステージは、また格別です。
3本の管楽器、ふたりのバック・コーラス、ふたりのキーボード奏者を含むバンドは、まるでオーケストラのような豪華な響きを出します。そして和田アキ子は気持ちよさそうに新旧・洋邦の名曲を歌いあげていきます。まずはジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」、ジャニス・ジョプリンの「Move Over」を続けて。ジミは1966年、ジャニスは67年にレコーディング・デビューしているので、68年デビューの和田アキ子は、ほぼ同期です。と考えると、今も現役で活動を続けている彼女の"レジェンド感"が、よりくっきりと浮かび上がります。
続いては「どしゃぶりの雨の中で」、「笑って許して」(オーディエンスの"アッコ"コールにも圧倒されました)、「古い日記」と自らのソウル・クラシックスを続け、さらにエルヴィス・プレスリーで有名になった「Blue Suede Shoes」と「One Night」を熱唱。歌に入る前に簡単に歌詞の説明をして、そこから観客をスッと音楽に引き込んでいくあたり、さすがの大エンターテイナーぶりです。
いまだ来日していない大物、ベット・ミドラーのライヴをニューヨークで見た話から、ベットがジャニスを演じた映画『ローズ』のナンバー「The Rose」へと続け、さらに「This Love」、「HAPPY」へ。もちろん、それぞれマルーン5、ファレル・ウィリアムズのカヴァーです。半世紀のキャリアを有す大ベテランでありながら、いま旬のアーティストに注目することも忘れない姿勢には敬服するしかありません。またこの日は"ブルーノート東京ではまだ披露していない代表曲"ということで、「コーラスガール」「抱擁」も聴かせてくれました。
大定番「あの鐘を鳴らすのはあなた」を歌いあげても、観客の拍手と声援はやみません。ピンクのドレスから黒のドレスに着替えた和田アキ子がアンコールの1曲目に選んだのは、ボビー・マクファーリンの全米No.1ナンバー「Don't worry be happy」。ボビーは多重録音を駆使して全部のパートを自らの歌声で表現していましたが、和田アキ子のヴァージョンはアコースティック・ギターやフルートを生かしたトロピカルな仕上がり。途中、ファンとのコール&レスポンスを交えながら楽しませ、さらに「もう一度ふたりで歌いたい」「夢」をソウルフルに綴りました。「夢」のラストに登場するロング・ノートには聴きほれるばかり。歌への愛情、音楽への愛情に包まれる110分間でした。
(原田 2019 4.21)
Photo by Takuo Sato
2019 4.19 FRI.
1. | PURPLE HAZE |
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2. | MOVE OVER |
3. | どしゃぶりの雨の中で |
4. | 笑って許して |
5. | 古い日記 |
6. | ブルー・スエード・シューズ ~ ワン・ナイト |
7. | THE ROSE |
8. | THIS LOVE |
9. | HAPPY |
10. | 愛の讃歌 |
11. | コーラスガール |
12. | 抱擁 |
13. | あの鐘を鳴らすのはあなた |
EC1. | DON’T WORRY BE HAPPY |
EC2. | もう一度ふたりで歌いたい |
EC3. | 夢 |