4.23 tue., 4.24 wed., 4.25 thu. @Blue Note Tokyo / 4.26 fri. @Nagoya Blue Note / 4.28 sun. @Motion Blue Yokohama
ANDREA MOTIS QUINTET -Do Outro Lado Do Azul-
artist ANDREA MOTIS
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ヨーロッパ・ジャズの新ヒロイン、ヴォーカルとトランペットを兼ねるアンドレア・モティスが最新作『もうひとつの青』を携えて公演中です。優しさと強さを兼ね備えた歌声は前回の来日時以上に冴えわたり、一度トランペットを唇に当てるとハード・バップへの大きな愛情を感じさせるプレイで魅了します。アンドレアの恩師、ジョアン・チャモロの代役として急遽参加した小澤基良も的確なベース・プレイで、見事バンド・サウンドに溶け込んでいました。
『もうひとつの青』にはブラジル産の佳曲がたっぷり収められていましたが、この日のステージは前作『エモーショナル・ダンス』からのレパートリー、さらにまだレコーディングしてない楽曲も含む、いっそう盛りだくさんの内容。ホレス・シルヴァー作「Senor Blues」や、近年ホセ・ジェイムズもとりあげていたビル・ウィザース作「Ain't No Sunshine」等を、タメを利かせてファンキーに歌うかと思えば、ビリー・ホリデイの愛唱曲「He's Funny That Way」ではスウィング感をいっぱいにたたえ、さらにカエターノ・ヴェローゾの「La Barca」を歌ったり、アリ・バホーゾの「Aquarela do Brasil」を途中に挿入したルイス・タチーチ「Baião De Quatro Toques」で盛り上げたりと、とにかく多彩です。
スペインを代表するベテラン・ピアニストのイグナシ・テラーサは今回も抜群の歌伴巧者ぶりを発揮。また「Ain't No Sunshine」では、内部奏法(ピアノの弦をミュートする)で西アフリカの弦楽器"コラ"のような音を出して異彩を放ちました。ジョセップ・トラベルはアコースティック・ギター(いわゆるエレアコではなく、生音をマイクで拾う)とエレクトリック・ギター、指弾きとピック弾きを巧みに使い分けます。けっこうピアノとギター双方のコード(和音)が一緒に鳴っている場合も多いのですが、決してぶつかったり干渉することなく、アンドレアの歌に、肌触りのいいシーツのようなバックグラウンドを提供しているのは、さすがというしかありません。ドラムスには、重鎮ダヴィッド・シルグが新たに参加。左利き用のドラム・セットで、きめ細かなプレイを披露します。「Dança da Solidão」では、バスドラをタイトに踏みつつバスタムをマレットで叩き、ブラジルの打楽器"スルド"のような効果を生み出していました。
あともうひとつ、ぜひ書き加えておきたいのは「Antonico」のアドリブ・パートで、アンドレアがルイ・アームストロングの「Struttin' With Some Barbecue」のメロディを引用したことです。奇しくもこの曲、先日行われたハンタートーンズの来日公演でもトランペットのジョン・ランプリーが「What A Wonderful World」の導入部で吹いていました。ルイといえばジャズ・トランペット奏法の形を作ったと言っていいほどの人物で、生きていたら120歳近い、そんな歴史的な存在です。時が過ぎても、トランペット奏者にとってルイは永遠のヒーローであり、目標なのでしょう。2週連続、ルイのメロディを、若手気鋭のプレイから聴きとることができて、ぼくは途方もなく嬉しくなりました。
公演は25日までブルーノート東京で行なわれ、28日にはモーション・ブルー・ヨコハマに登場します。さらに成長をとげたアンドレア、そして職人技のサポートを展開する4人の紳士たちのプレイを、ぜひナマでごらんください!
(原田 2019 4.24)
Photo by Yuka Yamaji
●ANDREA MOTIS QUINTET
-Do Outro Lado Do Azul-
2019 4.23 tue., 4.24 wed., 4.25 thu. ブルーノート東京
2019 4.26 fri. 名古屋ブルーノート
2019 4.28 sun. モーション・ブルー・ヨコハマ
2019 4.23 TUE.
1st | |
---|---|
1. | MEDITERRÁNEO |
2. | IF YOU GIVE THEM MORE THAN YOU CAN |
3. | HE’S FUNNY THAT WAY |
4. | I DIDN’T TELL THEM WHY |
5. | DANÇA DA SOLIDÃO |
6. | BRISA |
7. | ANTONICO |
8. | SEÑOR BLUES |
9. | LA BARCA |
10. | SOMBRA DE LÁ |
11. | BAIÃO DE QUATRO TOQUES |
EC. | AIN’T NO SUNSHINE |
2nd | |
1. | JO VINC |
2. | ANTONICO |
3. | BRISA |
4. | DANÇA DA SOLIDÃO |
5. | PRA QUE DISCUTIR COM MADAME |
6. | SENSE PRESSA |
7. | SEÑOR BLUES |
8. | EMOTIONAL DANCE |
9. | MEDITERRÁNEO |
10. | AIN’T NO SUNSHINE |
EC1. | LA BARCA |
EC2. | HE’S FUNNY THAT WAY |