2019 5.17 fri., 5.18 sat., 5.19 sun.
SENRI OE TRIO
artist 大江千里
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
デビュー36年目にかける、ほとばしるような気合を満喫いたしました。ニューヨーク在住のピアニスト/作曲家、大江千里による待望の里帰りステージが昨日から始まっています。2012年にアルバム『boys mature slow』をリリース以来、さまざまなフォーマットで"SENRI JAZZ"を届けてくれていますが、今回は遂にベース、ドラムスとのトリオ編成での登場です。先日インタビューした時に「ジャズ・ピアニストにとってはあまりにも王道すぎるフォーマットなので、あえて取り組む時期を探していた」と語っていたことを思い出します。まさに"満を持して"という言葉がぴったりのパフォーマンスで、超満員のオーディエンスを引き込みました。
共演者も実に豪華です。ベースのマット・クロージーはシェイマス・ブレイク、デヴィッド・ワイス、ジェフリー・キーザー(先日クリス・ボッティのバンドで登場)、ダーシー・ジェイムズ・アーギュー(現代オーケストレーションの旗手)などと共演を重ねてきたオーストラリア出身・ニューヨーク在住の逸材。コントラバスならではの"木の質感"を大切にする、力強いビートの持ち主です。ドラムスのアリ・ホーニグに関しては、自身のユニットでの来日経験もあるので、おなじみかもしれません。大江千里のジャズ・ピアノの師のひとりであるアーロン・ゴールドバーグを筆頭に、リチャード・ボナ、ティグラン・ハマシアン、メイシー・グレイらと共演、ティグランやシャイ・マエストロが参加した最新リーダー作『NY Standard』も、すこぶる刺激的でした。彼はドラム・ソロのとき、鼓面をこすったり肘で押さえたりして音程を操ることがあるのですが、今回もその技をたっぷり披露。客席からは驚きと賞賛が入り混じったような反応が巻き起こりました。
そしてこのふたりを引っ張っていくのが、リーダー・大江千里のピアノとコンポジションです。途中、ポップ・スター時代の話もはさみながら、1983年のデビュー曲「ワラビーぬぎすてて(Walabee Shoes)」、代名詞的大ヒット曲「格好悪いふられ方(Never See You Again)」などを軽やかにジャズ化。当時からのファンは、"あの曲がこんなふうになるなんて!"と、マジックに接しているような気分になったのではないでしょうか。彼はまた、このトリオのために、1ダースもの新曲を用意しており、この初日ファースト・セットでは、その中から「Bikini」と「Indoor Voices」を届けてくれました。滞在中にはまた、レコーディングの計画もあるとのこと。夏のリリースを予定しているそうです。
グリニッチ・ヴィレッジの風が吹くトリオの公演は19日まで行なわれます。全席ソールド・アウトとのことですが、最新の空席状況はお電話でお問い合わせください。(ブルーノート東京:03-5485-0088)
(原田 2019 5.18)
Photo by Takuo Sato
2019 5.17 FRI.
1st & 2nd | |
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1. | Tommy Who Knew Too Much |
2. | Fried Green Tomato |
3. | Akiuta |
4. | Wallabee Shoes |
5. | Never See You Again |
6. | Rain |
7. | bikini |
8. | Indoor Voices |
9. | YOU |
10. | The Adventure of Uncle Senri |
11. | Orange Desert |
12. | The Garden Christmas |
EC. | Mischievous Mouse |