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JOHN SCOFIELD "COMBO 66"

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


話題のグループが超満員のオーディエンスを沸かせています。重鎮ギタリスト、ジョン・スコフィールド率いる"コンボ66"の登場です。"コンボ"とはコンビネーション・オーケストラの略で小編成バンドのこと、"66"はバンド結成時にジョンが66歳だったことに由来します。アルバム『コンボ66』発表前の昨年9月、日本最大規模のジャズフェス「東京JAZZ」に出演していますが、今回はアルバムが浸透してからの来日。しかも3日間6セットにわたる公演です。まさしく、今のコンボ66が持つ勢いを全身で体感できる黄金の数日間といっていいでしょう。

「これはジャズ・バンドなんだ。徹底的にスウィングするためのね」。東京JAZZ公演のガイドブックのために取材した時、ジョンはこう答えてくれました。そしてライヴの内容は果たして、徹底的にグルーヴし、スウィングし、ドライヴするものとなりました。オープニングはアルバムでも1曲目に位置していた「Can't Dance」。いわゆるペダル・ポイントを使った導入部からギターとオルガンのユニゾンへと移り、いつしかジョンが古いスタンダード・ナンバー「Just You Just Me」風のコード進行に乗って入魂のソロを繰り広げます。ヴィセンテ・アーチャーのベースとビル・スチュアートのドラムスがニュアンスに富んだ4ビートを送り出し、ジェラルド・クレイトンのオルガンは分厚い音色で空間を埋め尽くしました。

セットリストはとくに決まっていないようで、ジョンがモチーフを弾き出すと、他のメンバーが即座にそれについていく印象を受けました。まさしく突然という感じで登場したのは、チャーリー・パーカーが1948年に発表した楽曲「Steeplechase」(その2年前には、ワーデル・グレイが同じリフを使った「Easy Swing」という曲を出していますが)。ビルのドラムスは"4ビートという伝統的なリズムの枠内で、こんなに新しく、多彩なことができるんだ"という感じ。弾きまくるジョンを煽りに煽り、ジェラルドもまるでオスカー・ピーターソンが乗り移ったかのように豪快にプレイします。高速オクターヴ奏法のなんと鮮やかなこと! 彼の活動初期、ニューヨーク・タイムズで「オスカー・ピーターソンを彷彿とさせるプレイ・スタイルの逸材」と紹介されていたことを思い出しました。また、ベルギー出身のギタリスト/ハーモニカであるトゥーツ・シールマンスに捧げた「King of Belgium」では、かつてトゥーツが在籍したジョージ・シアリング・クインテットのサウンドにも表敬するかのように、ジェラルドのピアノによるブロック・コードとジョンのギターがユニゾンでテーマ・メロディを演奏。それをしっかり支えるビルの小粋なブラッシュ・ワークにも引き込まれました。

数々の伝説的ジャズ・ミュージシャンと共演してきたジョンが、ジャズの豊かな歴史を次世代(演奏家とリスナー双方)に伝えている・・・ぼくは"コンボ66"から、改めてこのような印象を受けました。いわゆるジャム・バンド路線のジョンを愛する方、エンヤ盤『Live』やジョン・アバークロンビーとの共演作『Solar』などの古典を大切に聴き続けている方、その両方を思いっきり満足させてくれるバンドだと思います。公演は30日まで開催、31日にはジョンが日野皓正バンドに参加し、42年ぶりのステージ共演が行なわれます。
(原田 2019 5.29)
Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2019 5.28 TUE.
        
1st
1. CAN'T DANCE
2. COMBO THEME
3. GREEN TEA
4. STEEPLE CHASE
5. HANGOVER
6. THE KING OF BELGUIM
7. NEW WALTZO
 
2nd
1. ICONS AT THE FAIR
2. SOUTHERN PACIFIC
3. MUSEUM
4. AU PRIVAVE
5. YOU'RE STILL THE ONE
6. F U DONALD
7. WILLA JEAN
EC. BUT BEAUTIFUL

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