2019 6.26 wed., 6.27 thu., 6.28 fri., 6.29 sat.
BENNY GOLSON QUARTET
artist BENNY GOLSON
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
なんと御年90歳! 1940年代末から第一線に立ち続けるベニー・ゴルソンが、今年も風格たっぷりのライヴを届けてくれます。共演メンバーは20年来のレギュラーであるマイク・ルドーン(ピアノ)、バスター・ウィリアムス(ベース)、カール・アレン(ドラムス)。昨年の公演では気鋭のルーク・セリックが堅実なプレイを聴かせてくれましたが、今回はゴルソンが"ジャズ史に輝く偉大なベーシストの一人"と賞賛してやまないウィリアムスが復帰しています。どのナンバーにもベース・ソロが挿入され(ソロを終えようとする彼にゴルソンが"もう1コーラス聴かせてくれ"と呼びかけるシーンもありました)、1曲あたりの演奏時間も長尺気味になりました。
セットリストは用意されておりません。つまり、膨大な"ゴルソン・ソングブック"の中から何が選ばれるかは、そのときのゴルソンのセンスしだいというわけです。ぼくが足を運んだ初日のファースト・セットでは「Whisper Not」、「I Remember Clifford」、そしてスティーブン・スピルバーグ監督映画『ターミナル』劇中でもこのカルテットによって演奏されていた「Killer Joe」がとりあげられました。伝説の名曲を書いた本人が、それを今、目の前で演奏している・・・実に感慨深いひと時でした。
また、この日(6月26日)は、親友のトランペット奏者、クリフォード・ブラウンの命日でもありました。"1956年のこの日、彼は自動車事故で死んだ。まだ25歳の若さだった。それからもう63年も経ってしまったのか。だけど私は毎日、彼のことを思い出すんだよ"というMCの後に、「I Remember Clifford」がプレイされたのですが、イントロ部分を無伴奏で、いつもより長めの変奏を加えて聴かせてくれたのには嬉しい驚きがありました。サブトーン(息の音を多めに混ぜる奏法)を用いたテナー・サックスの音色が、シンと静まった満員の店内に優しく鳴り響きます。そしてエンディングでは再び、無伴奏によるカデンツァ(独奏)へ。
クリフォードに限らず、ジョン・コルトレーン、ディジー・ガレスピー、アート・ブレイキー、アート・ファーマーなど往年のゴルソンと交流したジャズ・ジャイアントは、今やほとんどこの世にいません(カーティス・フラーも演奏活動から離れて数年が経ちます)。しかしゴルソンは現役として、わたしたち後進に永久不滅の"ジャズ・メッセージ"を伝えてくれています。まさしくレジェンド、その尊さをぜひライヴでご体感ください。公演は29日まで続きます。
(原田 2019 6.27)
Photo by Yuka Yamaji
2019 6.26 WED.
1st | |
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1. | HORIZON AHEAD |
2. | WHISPER NOT |
3. | TAKE THE "A" TRAIN |
4. | I REMEMBER CLIFFORD |
5. | WITHOUT A SONG |
6. | KILLER JOE |
7. | NOW'S THE TIME |
2nd | |
1. | HORIZON AHEAD |
2. | ALONG CAME BETTY |
3. | TAKE THE "A" TRAIN |
4. | I REMEMBER CLIFFORD |
5. | DELILAH |
6. | TINY CAPERS |
7. | NOW'S THE TIME |