2019 7.1 mon., 7.2 tue.
NICOLA CONTE & SPIRITUAL GALAXY featuring Carolina Bubbico, Timo Lassy, Simon Moullier, Luca Alemanno, Teppo Mäkynen & Abdissa Assefa DJ : Tatsuo Sunaga
artist NICOLA CONTE
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
少し早めに場内に入ると、痛快なモダン・ジャズの響きが飛び込んできました。サックス奏者ジョニー・グリフィンが1959年に録音したアルバム『The Little Giant』に入っている「63rd Street Theme」ではありませんか。ニコラ・コンテとは20年来の盟友である人気DJの須永辰緒が絶妙な雰囲気を演出し、その熱気を受け継ぐように、ライヴ演奏が始まります。
"ニコラ・コンテ&スピリチュアル・ギャラクシー"の公演は昨年も行なわれましたが、メンバーが大きく入れ替わり、楽器編成にもかなりの変化が生じました。簡単に言えば管楽器はティモ・ラッシーのテナー・サックス一本、ほとんどの曲がピアノレス編成になりサイモン・ムーリエのヴィブラフォンが彩り豊かなコード(和音)を添えました。「Afro Black」や「Universal Rhythm」など前回と同じレパートリーを演奏しても、まるで別のユニットのように新鮮な響きを与えてくれます。とくにムーリエのプレイに、ぼくは魅了されっぱなしでした。4本マレットを駆使した幻想的な響き、あまりにも創造力ゆたかなアドリブ・ソロ、そして指や1本のマレットの柄を押し付けて音をミュートさせたり、ベントさせながら音色に変化を加えるアイデアにも感心させられることしきりです。最近、ジャズ・ヴィブラフォンの世界は面白みが増していると個人的には思っています。ブルーノート・レーベルからアルバムをリリースしたジョエル・ロス、弓弾きの達人でもあるパトリシア・ブレナンに並ぶ逸材がムーリエであると断言していいでしょう。近い将来、彼自身のプロジェクトをぜひライヴで体験したいと思わずにはいられませんでした。
さらに初来日であるという女性シンガー、カロリーナ・ブッビコもパフォーマンスに華を添えていました。グレゴリー・ポーターやホセ・ジェイムズをメジャー・デビュー前から起用するほどの"目利き"であるニコラが、「このユニットに最もふさわしい歌手だ」と言い切るだけあって、音程の跳躍の激しいメロディ・ラインであっても難なく歌いこなし、スキャットの乗りも抜群です。もちろんテッポ・マキネン(ドラムス)やアブディッサ・アッセファ(パーカッション)といった常連ミュージシャンも健在。まだレコーディングしていない「Netsanet」はストップ・タイムを効果的に使った曲で、"終わりかな"と思ったらまた始まり、それが繰り返されるごとにさらにオーディエンスの熱気が高まるというキラーチューンで、こうした新曲がいち早く聴けるのもライヴの醍醐味のひとつです。公演は本日も行なわれます。さらにダークに、モーダルに、スピリチュアルに進化したニコラの世界をお楽しみください。
(原田 2019 7.2)
Photo by Makoto Ebi
2019 7.1 MON.
1st | |
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1. | TRIBES FROM THE UNKNOWN |
2. | AFRO BLACK |
3. | OGUN |
4. | UHURU NA UMOJA |
5. | ESSENCE OF THE SUN |
6. | UNIVERSAL RHYTHM |
7. | SPACE DIMENSIONS |
8. | ME DO WO |
EC. | NETSANET |
2nd | |
1. | TRIBES FROM THE UNKNOWN |
2. | AFRO BLACK |
3. | OGUNS |
4. | ESSENCE OF THE SUN |
5. | UNIVERSAL RHYTHM |
6. | UHURU NA UMOJA |
7. | SPACE DIMENSIONS |
8. | NETSANET |
9. | ME DO WO |
EC. | IMANI RIVER |