LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


MIKE STERN BAND featuring AKIRA JIMBO, DANNY WALSH & EDMOND GILMORE

artist MIKE STERN

VIDEO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
猛暑日には、火花の散るような熱い音楽を体じゅうで浴びるに限ります。昨日、ついにマイク・スターンと神保彰のスペシャル・セッションが幕を開けました。'70年代後半から活動を続けるふたりですが、意外にも今回が初共演。前日に周到なリハーサルを行なってからの、本番です。

オープニングはマイクの近年のライヴの定番「OUT OF THE BLUE」。タイトルには"唐突に"という意味がありますが、たしかに超絶テクニカルなテーマ・メロディの後、突如としてブルース・コードを用いたアドリブ・パートに突入するあたりは実にスリリングです。神保はスティックとブラッシュを何度も使い分け、ソリストの音を注意深く聴きながら、ここぞというところでフィル(合いの手)や足カウベルを入れます。テナー・サックスのダニー・ウォルシュはエアロスミス、グレッグ・オールマン、ウェルドン・アーヴィーン、レニー・ホワイト、ヨシ・ワキ(山中千尋トリオ)などと共演してきた奏者。マイケル・ブレッカーのプレイを徹底的に追求して自身の血肉とした・・・という感じの演奏は多くのオーディエンスを興奮させることでしょう。ベースのエドモンド・ギルモアはジェフ・アンドリュースに師事した名手で、ボブ・モーゼスやスティーヴ・ライヒとの共演、さらにコントラバス奏者としてクラシックのオーケストラで演奏した実績も持っています。この日は4弦エレクトリック・ベースに専念し、ジャコ・パストリアスに通じるシンコペーション満載の高速ベース・ラインや(ドラムの方を向き、ベースのネックを上げ気味にして、左足を揺らしながら弾きまくるところもジャコを彷彿とさせました)、閃光のようなスラップ奏法で存在感を放ちました。特にこの「OUT OF THE BLUE」ではメンバー全員のロング・ソロがフィーチャーされ、このグループが文字通り大変な凄腕集団であることを鮮やかに示しました。

マイクのフレーズにエドモンドのベースが対位法のように絡み、そこから自然に始まったのは「AVENUE B」。神保は笑みを浮かべながら高く掲げられたシンバルを華麗に打ち(なんとしなやかな腕の動きでしょう)、他のメンバーも彼の笑顔がうつったかのように笑顔です(マイクはパフォーマンス中、何度も大笑いしたり、飛び上がったりしていました)。マイクがギターとスキャットのユニゾンを聴かせる「ALL YOU NEED」も、この日の展開はいっそうハードです。自然にマイク、ダニー、エドモンドの3者が神保のところに寄ってきて(ひきつけられて)、彼を囲むようにプレイしていたのも実にほほえましい光景でした。マイクは"アメイジング"と神保を賞賛、このふたりが出会い、共演してくれて本当に良かったと思います。喜びにあふれた公演は5日まで休みなしで行なわれます。各セット、ますますホットになっていくことでしょう!

(原田 2019 8.3)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2019 8.2 FRI.
1st
1. OUT OF THE BLUE
2. AVENUE B
3. ALL YOU NEED
4. FUNK JAM
5. I BELIEVE YOU
6. TRIP
EC RED HOUSE
 
2nd
1. HALF CRAZY
2. KT
3. ALL YOU NEED
4. WHAT MIGHT HAVE BEEN
5. CHROMAZONE
EC. RED HOUSE
EC. PURPLE HAZE

INDEX