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SADAO WATANABE with RUSSELL FERRANTE, JOHN PATITUCCI & STEVE GADD

artist JOHN PATITUCCI , SADAO WATANABE , STEVE GADD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


恒例となって久しい渡辺貞夫のブルーノート東京公演が昨日から始まりました。今回のメンバーはいつにも増して豪華です。文字通りのオールスター・カルテットといっていいでしょう。

ピアノのラッセル・フェランテは'85年のアルバム『マイシャ』以降、数多くのアルバムに参加しており、12月に行なわれるコンサートへの参加も決定しています。ベースのジョン・パティトゥッチは'91年の『スウィート・ディール』で快演を聴かせてくれました。そしてドラムスのスティーヴ・ガッドは'79年の『モーニング・アイランド』以降、'81年の『オレンジ・エキスプレス』、'83年の『フィル・アップ・ザ・ナイト』などで渡辺貞夫と共演を重ねてきました('80年に行なわれた、我が国のジャズ界不滅の快挙である日本武道館3デイズのドラマーもガッドでした)。歴史を彩るフュージョン・アルバムに貢献してきた3人が今、ストレート・ジャズを演奏するために東京に集ったのです。イエロージャケッツのリーダーとしても知られるフェランテはエレクトリック・キーボードの達人でもあり、パティトゥッチは6弦エレクトリック・ベースにも才能を発揮する奏者ですが、今回はアコースティックに専念します。

レパートリーは渡辺のオリジナル曲が中心。『スウィート・ディール』からのまさかの再演「Early Spring」、近年の代表的レパートリーである「Butterfly」「Plum Island」「Life Is All Like That」などを次々と聴かせてくれました。前日にリハーサルを行なったそうですが、即座に「"(リズム・セクションの)アプローチがまったく新しい。曲が生まれ変わった印象を受けた。まさに"reborn"だ」という気持ちになったそうです。4ビート、バラード、ボサノヴァ、ワルツなど多彩な曲想のなかで、4人全員がたっぷりとアドリブ・プレイを繰り広げました。個人的には「Butterfly」におけるガッドのブラッシュ・ワークも強く印象に残りました。偶数拍でハイハットをしっかりと踏み、まるでいにしえのジャズ・ドラマーのようにスウィングしていくのです。ガッドは'70年代初頭にトロンボーン奏者ビル・ワトラスの『ボーン・ストレイト・アヘッド』というアルバムに参加し、ハンク・ジョーンズやミルト・ヒントン(1920年代から90年代にかけて活動したベース奏者)とリズム隊を組んで、文字通りトラディショナルでスウィンギーなプレイに徹したことがあります。それを彷彿とさせる、マニア心をくすぐる展開に、ぼくは身を乗り出しながら聴き入ってしまいました。そしてオーラスはマイクを使わない、限りなくメロディアスなアルト・サックス・ソロ。超満員の場内は、割れんばかりの拍手に包まれました。黄金チームによる公演は9日まで休みなく続きます。

(原田 2019 8.7)
Photo by Takuo Sato

SET LIST

2019 8.6 TUE.
     
1st
1. BUTTERFLY
2. PLUM ISLAND
3. EARLY SPRING
4. LOPIN’
5. I THOUGHT OF YOU
6. WAITING SONG
7. TEMBEA
8. LIFE IS ALL LIKE THAT
9. 花は咲く
10. EPISODE
EC. POR TODA A MINHA VIDA
 
2nd
1. ONE FOR YOU
2. I MISS YOU WHEN I THINK OF YOU
3. TREE TOPS
4. MEMORIAS
5. WARM DAYS AHEAD
6. SIMPATICO
7. CHEGA DE SAUDADE
8. LIFE IS ALL LIKE THAT
9. EPISODE
10. 花は咲く
EC. BLUE N' BOOGIE

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