2019 8.23 fri., 8.24 sat., 8.26 mon., 8.27 tue.
AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
不動・最高・最強の3人組が、今年もブルーノート東京に戻ってきてくれました。矢野顕子、ウィル・リー、クリス・パーカーがここに登場するのは今年で11年目。今回もおなじみの人気曲、新鮮なレパートリー、あっと驚く"掘り起こし"を交えながら、圧倒的な熱量で超満員のオーディエンスを沸かせに沸かせました。
矢野顕子は昨年同様、ベヒシュタインのピアノを演奏。エッジの立ったところと、なんともいえない香しさを兼ね備えたトーンは絶品です。さらにコルグのシンセサイザー"KRONOS"も弾いて、ときには両方の楽器でオクターヴ・ユニゾンをも繰り広げました。この4月に音楽監督を務めたイベント「EAST MEETS WEST 2019」(東京国際フォーラム ホールCで開催)を大成功させたウィル・リーは、ベースはもちろん、シンセ・ベース、ハーモニカ、ヴォーカルにも才能を発揮。加えてダンスや寸劇のようなものを披露するなど、エンターテイナーぶりにますます磨きがかかった感じです。そしてステージ向かって右側、クリス・パーカーは抜群に深みのあるグルーヴをドラム・セットから放ちます。バスドラの重量感、スネアの抜けの良さ、繊細なブラッシュ・ワーク、魅力はつきません。とくにスロー・テンポものに顕著な、空間を彩っていくようなプレイは、彼がプロフェッショナルな画家であることと無関係ではないはずです(売店ではうちわ、ちょうちん等が販売されていました。すべて描きおろしの一点もので、同じものは何一つとしてありません。なんてジャズ的なんでしょう)。
オープニングから驚きの選曲が飛び出しました。'77年リリースのセカンド・アルバム『いろはにこんぺいとう』(矢野とウィルは、このレコーディング・セッションで初めて共演しました)から、タイトル曲です。あまりにもびっくりしたので、家に帰ってからそのCDを引っ張り出して先ほどまで聴いていたのですが、ファンキーさ加減という点ではトリオによる2019年ライヴ・ヴァージョンのほうが圧倒的です。とくに矢野のピアノの低音とウィルのベースが一糸乱れぬユニゾンを聴かせるあたり、熟成されたコンビネーションの醍醐味という印象を受けました。続いては昨年11月リリースのアルバム『ふたりぼっちで行こう』でオープニングを飾っていた「When We're In Space」へ。プログラミングされたサウンドと3人のリアルタイムの響きが見事に溶け合います。この2曲が制作された間には40数年の歳月が流れているのですが、まさしくどちらも、圧倒的な矢野顕子ミュージックです。
ライヴの定番「ゴジラvsモスラ」は、キングギドラにも熱い思いを込めたヴァージョンとして、いっそうパワーアップ。名盤『峠の我が家』のラストを飾っていた「Home Sweet Home」、パット・メセニーが作曲した「PRAYER」等、マニア心をくすぐるナンバーも快演されました。そして本編ラストは、YMOの名演でも知られる「東風」(Tong Poo)。もちろん矢野自身による歌詞つきヴァージョンとして披露されました。ニューオリンズ・ファンクを彷彿とさせる導入部から有名なイントロになだれ込み、そこからメロディ歌唱に入っていくあたり、スリル満点。最強トリオは今年も磨き抜かれた極上のパフォーマンスで夏を盛り上げてくれました。
(原田 2019 8.28)
Photo by Takuo Sato
2019 8.23 FRI.
1st & 2nd | |
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1. | いろはにこんぺいとう |
2. | WHEN WE ARE IN SPACE |
3. | HOME SWEET HOME |
4. | ゴジラ VS モスラ |
5. | PRAYER |
6. | HOW CAN I BE SURE |
7. | REACH OUT |
8. | TONG POO |
EC1. | GASOLINE AND MATCHES |
EC2. | ラーメンたべたい |