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GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

アメリカ西海岸の華やかさ、軽やかさ、明るさが今、ブルーノート東京に直送されています。4度のグラミー賞に輝く超絶集団、ゴードン・グッドウィン率いるビッグ・ファット・バンド(BPB)の登場です。

映画やテレビの音楽で押しも押されもせぬ大御所となっていたゴードンが、あふれるビッグ・バンド・ジャズ愛のもと、BPBを結成したのは2000年のこと。"まさかここまで長続きし、世界ツアーを行なうほど成功するなんて思いもよらなかった"と当時を振り返っています。しかし彼の視点はつねに今日に向いています。初日のファースト・セットは、できたばかりの新作『The Goadian Knot』に収められているナンバーの日本プレビューが主となりました。

「T.O.P.Adjacent」は、その新作でも冒頭を飾っていた1曲。タイトルを見てお分かりの通り、ブルーノート東京にも何度も登場している人気グループ"タワー・オブ・パワー"(TOP)へのファンキーな捧げものです。急遽参加となった今泉洋が小気味よいギター・カッティングを奏で、バリトン・サックスのジェイ・メイソンも、TOPのスティーブン・クプカばりに図太い音を放ちます。チック・コリア・エレクトリック・バンドの一員として先ごろの「東京JAZZ」に出演していたことも記憶に新しいエリック・マリエンサルは、ここでも千両役者ぶりを発揮。最初のソロ・パートではブラス・セクションをバックにファンキーに、後半に訪れた2度目のソロ・パートではリズム・セクションだけを従えて、ワン・コードでアグレッシヴなまでに吹きまくりました。「Don't Blink」も新作からの曲ですが、こちらはミュート・トランペットやバス・クラリネットの柔らかなアンサンブルが映えるナンバー。レイ・ブリンカーのブラッシュ・ワークも傑出していました。

演奏後、ゴードンは「Don't Blink」の長い譜面を観客に見せます。丹念にスコアを描き込むゴードン、それをごく自然発生的に楽し気に演奏するミュージシャン双方のプロフェッショナリズムに改めて感銘を受けていたところ、"次は即興で行こう。キーはBフラット、ベースのイントロから始めてくれるかな?"とゴードンが指示します。エレクトリック・ベースからアコースティック・ベースに持ち替えたケヴィン・アクストがハーモニクス奏法も交えながらイントロを弾き、やがてそれはブルース・コードに基づくベース・ラインへと変化します。そこにレイのドラムスやゴードンのピアノが合流すると、思いっきりリラックスした雰囲気に。先日来日したばかりのカウント・ベイシー・オーケストラに通じるスウィンギーな響きが快さを運びます。この曲はゴードンによって「Blue Note Blues」と名付けられました。

ステージ後半では、女性ヴォーカリストのヴァンジー・ガンも登場。『スパイダーマン:ホームカミング オリジナル・サウンドトラック』等のアルバムに参加、バリー・マニロウやメリサ・マンチェスターとの共演歴もある実力派ですが、個人的には"アメリカン・ショウビジネスのひと"という印象を持っていました。しかし「A Night In Tunisia」ではホーン・セクションを向こうに回して痛快にドライヴし、文字通り乗りに乗った歌唱を繰り広げました。今後、彼女の"ジャズ・サイド"に触れる機会がもっと増えることを願ってやみません。

『The Goadian Knot』はブルーノート東京のクロークで世界先行販売中。ゴードンは各ステージ終了後、サイン会も行ないます。公演は28日まで!


(原田 2019 9.26)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2019 9.25 WED.
1st
1. T.O.P. ADJACENT
2. DON’T BLINK
3. BLUES HEAD CHART
4. SUNSET AND VINE
5. THE INCREDIBLES
6. THROUGH THE FIRE
7. NIGHT IN TUNISIA
8. THE BUDDY COMPLEX
 
2nd
1. T.O.P. ADJACENT
2. DON’T BLINK
3. GARAJE GATO
4. THE INCREDIBLES
5. IT’S NOT POLITE TO POINT
6. SUMMERTIME
7. SHAKE IT OFF
8. THE BUDDY COMPLEX
EC. THE JAZZ POLICE

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