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OMAR SOSA & YILIAN CAÑIZARES 'AGUAS Quartet'

artist OMAR SOSA

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


キューバが生んだ鬼才と才媛の、世代を超えた出会い。8月にはゴンサロ・ルバルカバとアイメー・ヌビオラが新プロジェクト"Viento y Tiempo"で絶妙なコンビネーションを聴かせたのも記憶に新しいところですが、昨日から始まったのはオマール・ソーサとジィリアン・カニサーレスのコラボレーション。昨年の公演も大好評だった打楽器奏者グスターボ・オバージェスとの"アグアス・トリオ"に、さらにベース奏者のチルド・トーマスを加えた"アグアス・カルテット"によるワールド・プレミア公演です。

オープニングは「Cuadro de Casa」。音色を電気的に加工したオマールのピアノにのせて、グスターボが深みのある声で語り、やがてジィリアンとヴォーカルの掛け合いを繰り広げます。ジィリアンはヴァイオリンを指弾きで演奏し、オマールは音色をピアノ本来のものに戻して、こぶしを高速で右へ右へとずらしながら、すさまじいグリッサンドで圧倒します。ジィリアンの弓弾きアクションにも激しさが加わり、時にしゃがみ込んだり立ったりしながら奔流のように音を放ちました。チルドはダブルネック(4弦と5弦)のエレクトリック・ベースを演奏。上半身をほとんど動かさず、指だけが忙しくフレットの上を走り回ります。途中、カリンバ(親指ピアノ)に切り替えると、オマールがすかさずシンセサイザーの鍵盤のうえに左手を乗せてベース・ラインを奏でていきます。

チルドの加入で一層のバラエティが増したバンド・サウンド。加えてグスターボのパーカッション・セットもユニークです。なかでも観客の目を釘付けにしたのは、"アグアス"(水)というユニット名ならではの、水を使った打楽器パフォーマンス。「Oshun」では、水を一度吸い上げて、その水が落ちる音を拾う竹の装置(ちょっと日本の"ししおどし"に似ています)が大きくフィーチャーされました。ラストはオマールが'90年代に書いた「Mis Tres Notas」を新アレンジで演奏。4人は火の出るような超絶技巧をやり取りした後、リフレインを観客と共に合唱。さらにその勢いのまま、歌いながらバックステージに向かっていきました。

"アグアス・カルテットの世界は単なる音楽じゃなくて、私たちのヒューマニティ(人間性)そのものなんだ"と語るオマール。公演は本日も行なわれます。そして10月3日からは、やはりキューバを代表するミュージシャンが集まった"ラ・ファミリア・ロペス・ヌッサ"の公演が始まります。ジャズ・ファン、キューバ音楽ファン、ワールド・ミュージック・ファンすべてにおすすめなのが、10月上旬のブルーノート東京なのです。
(原田 2019 9.30)
Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2019 10.1 MON.
  
1st & 2nd
1. CUANDRO DE CASA
2. DE LA HABANA Y OTRAS NOSTALGIAS
3. ANGUSTIADO
4. OSHUN
5. D2 DE AFRICAS
EC. MIS TRES NOTAS

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