2019 10.3 thu., 10.4 fri., 10.5 sat.
LA FAMILIA LÓPEZ-NUSSA
artist HAROLD LÓPEZ-NUSSA , LA FAMILIA LÓPEZ-NUSSA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
オマール・ソーサの"アグアス・カルテット"と入れ替わるように、またしてもブルーノート東京にキューバの才人たちがやってきました。その名も"ラ・ファミリア・ロペス・ヌッサ"です。
全6人中、4人がロペス・ヌッサ姓を名乗るファミリー・バンドです。ルイ・ロペス・ヌッサ(ドラムス)とエルナン・ロペス・ヌッサ(ピアノ)の重鎮兄弟と、ルイの息子たちであるアロルド・ロペス・ヌッサ(ピアノ)とルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサ(ドラムス)が合流。さらにマイケル・ゴンサレス(トランペット)、フリオ・セサール・ゴンサレス(エレクトリック・ベース)が彩りを加えます。ツイン・ピアノ、ツイン・ドラムスという編成は相当に珍しく、あるアメリカのメディアでは"これまでにない新しい形のジャズ"と賞賛されたとのことですが、サウンド自体は非常に普遍的という印象を受けました。リズム、メロディ、ハーモニーの骨格が非常にしっかりしていて、テーマ・メロディ→アドリブ→テーマ・メロディという構成からは伝統的なジャズ・フォーマットそのものです。
6人はバックステージから、にぎやかに手拍子を打ちながら登場。観客もその手拍子と調子をあわせ、やがて1曲目の「Guajira」に突入します。エルナンはキーボード、アロルドはアコースティック・ピアノで妙技を発揮し、マイケルも明るく突き抜けるような音色でトランペットをブロウします。2つのドラム・セットにはパーカッションも設置されていて、その響きがリズムに一層のバラエティを加えます。ハード・バップ的な音作りで迫る「Dinga Dunga Donga」では、エルナンがアコースティック・ピアノで"シンプル・イズ・ベスト"というべきソロを披露。一方のアロルドはエモーションをぶつけるかのように10本の指を鍵盤にこれでもかと走らせ、空間を埋め尽くすようなプレイで応じます。ふたりの鍵盤さばきが生み出すコントラストも、このユニットの大きな特色といえましょう。
アメリカのトランペット奏者、ケニー・ドーハムがシャンソンの「パリの空の下」を基に書いたボサノヴァ曲「Blue Bossa」も、ロペス・ヌッサ一家が料理するとクラーヴェを生かした痛快なラテン・ジャズへと変化します。ここではフリオの華麗なベース・ソロもフィーチャーされました。そしてプログラム後半では、エルナンとアロルドのデュオ、ルイとルイ・アドリアンのリズム合戦も。エルナンが伝説のバンド"ハバナ・リポート"時代から愛奏している「Momo」の最新ヴァージョンが聴けたのも収穫でした。
手拍子をしながら、歌いながら、ステージをおりた6人ですが(フリオは首からぶら下げた大きなタムタムを叩きながらの熱唱でした)、当然ながらオーディエンスの拍手と声援はやみません。ステージに戻ったメンバーは、やはり"ハバナ・リポート"時代のナンバー「Eso No Tiene Nombre」をプレイ。モード・ジャズとラテンをガッチリと融合させながら、ファンをさらなる興奮へと導いたのでした。公演は5日まで行なわれます。
(原田 2019 10.4)
Photo by Takuo Sato
2019 10.3 THU.
1st & 2nd | |
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1. | GUAJIRA |
2. | DINGA, DUNGA, DONGA |
3. | BLUE BOSSA |
4. | CAPULLITO DE ALELÍ |
5. | ISLA |
6. | MOMO |
7. | PARADOS |
8. | CONGA LÓPEZNUSSÍSTICA |
EC. | ESTO NO TIENE NOMBRE |