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CHIHIRO YAMANAKA FEMALE TRIO "Prima Del Tramonto" Special Live 2019

artist CHIHIRO YAMANAKA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

会心作『プリマ・デル・トラモント』(6月にCD、今月9日にLPでリリース)がベスト・セラー中の山中千尋が、全員女性のトリオを率いてブルーノート東京にやってきました。共演者は2007年の山中の映像作品『ライブ・イン・トーキョー』にも参加していた左利きのベース奏者ジェニファー・レイサム、そしてあのデビュー作『リヴィング・ウィズアウト・フライデイ』でもプレイしていたドラマーのラフラエ・オリヴィア・サイ。旧友どうしの和やかなセッションになるのかなと思いきや、それぞれの技が炸裂する猛烈にスリリングなひとときを届けてくれました。

3人がステージにあがり、まずは山中千尋がオーディエンスに語りかけます。台風19号の件にも触れ、「復興への気持ちを込めて演奏します」と。山中のMCを聞くごとに感じるのは、日本語の美しさです。言葉遣いが丁寧、品格があります。秋吉敏子のMCに通じる"襟を正した感じ"を覚えつつ、ぼくは鑑賞への意気を高めました。

オープニングは最新作のタイトル曲「PRIMA DEL TRAMONTO」。そこからいつしか「LIVING WITHOUT FRIDAY」へと続きます。盛大なグリッサンドを用いたピアノのアドリブが熱気を高め、そこからベースとの一糸乱れぬユニゾンへ。その先は熱烈なドラム・ソロが待ち受けています。この曲にはいろんなアレンジがあるそうですが、今回はあえて作曲当時に作っていたアレンジで演奏したとのこと。スピード感たっぷりの演奏に、超満員の観客は一人残さず引き込まれてしまったのではないでしょうか。

パフォーマンスはさらに勢いに乗るばかりです。やはり最新作から、ミシェル・ペトルチアーニの愛奏曲でもあった「PASOLINI」(バド・パウエル等と共演したドラマーにして、カンツォーネの作曲家でもあるアルド・ロマーノが書きました)を軽やかに聴かせ、セロニアス・モンク作「PANNONICA」や最新アルバムからの自作「THINKING OF YOU」ではキーボードを用いて、よりポップかつキャッチーに。ブルーノート・レーベル設立80周年を記念して選曲したという「SUMMERTIME」では、原曲のハーモニーに多彩な変化を加えながら、三者一体となって幻想的なプレイを繰り広げました。

(原田 2019 10.14)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2019 10.13 SUN.
1st
1. PRIMA DEL TRAMONTO
2. LIVING WITHOUT FRIDAY
3. PASOLINI
4. THINKING OF YOU
5. SUMMERTIME
6. PANNONICA
7. YAGI BUSHI
EC1. LOOKING UP
EC2. SO LONG
 
2nd
1. BEVERY
2. SWEET LOVE OF MINE / LIVING TIME EVENT Ⅴ(FIVE)
3. GENNARINO
4. BLUE MINOR / CANTALOUPE ISLAND
5. A SAND SHIP
6. YAGI BUSHI
EC. THINKING OF YOU

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