2019 10.19 sat., 10.20 sun.
ELECTRO DELUXE
artist ELECTRO DELUXE
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
活動歴20年を誇るフランスきってのグルーヴ集団、エレクトロ・デラックスが最新作『アポロ』を携えて3年ぶり、2度目の公演中です。
彼らのステージは、完全なる観客参加型です。フロントマンのヴォーカリスト、ジェイムズ・コプリーは客席を鼓舞し、煽り、刺激し、喜ばせます。そしてオーディエンスを音楽の世界にどんどん引き込んでいきます。結果、我々きき手はいつの間にかジェイムズとリフレインを口ずさんでいたり、コール&レスポンスやハンドクラップを繰り広げたり、ダンスに参加したりしています。ラスト、ジェイムズは何度も絶叫しました。「ユー・アー・エレクトロ・デラックス!」。バンド・メンバーもオーディエンスも、その場にいる誰もがエレクトロ・デラックスという共同体を構成しているのだ、ということなのでしょう。
プログラムはいきなり、「Mr High Roller」、「Do Your Thang」、「Sleepwalking」とニュー・アルバム収録ナンバーを3連発。ファンク、テクノ、ディスコ、ブラス・ロック等を煮込んだようなサウンドは相変わらずの大迫力であり、極太のベース・ラインとディストーションを通した音色(ハード・ロック・バンドのギタリストのように聴こえます)を巧みに使い分けるジェレミー・コークのベース・プレイにも聴き惚れました。重厚な「Ball and Chain」はアッパーな曲が並ぶセットリストの中で良き場面転換となっていましたし、「Twist Her」では場内がダンスとコール&レスポンスの一大大会に。'70年代の映画『サタデイ・ナイト・フィーバー』で大流行したビージーズのディスコ・ヒット「Staying Alive」をよりファンク色を強調したアレンジで聴かせ、そこから目下の最新シングルでニュー・アルバムにも入っている「Right Now」につなげていくあたりの呼吸も絶妙です。
ホーン・セクションを務める3人も抜群に輝かしい音色、冴えたアドリブのアイデアを持っています。なかでもトランペット奏者アレキサンダー・エリコンは"必聴"の一言に尽きます。ある媒体では「ルイ・アームストロングを思わせる」と書かれ、別の媒体では「ニルス・ペッター・モルヴェルのエコーが感じられる」と評されています。こんなに見解の分かれる奏者もなかなかいないのではないかと思います。アクションたっぷりのジェイムズのパフォーマンスも無論良いですが、とくにジャズ好きの方にはアレキサンダーのトランペット・プレイが大きな収穫となるはずです。公演は本日まで!
(原田 2019 10.20)
Photo by Great The Kabukicho
2019 10.19 SAT.
1st & 2nd | |
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1. | MR HIGHROLLER |
2. | DO YOUR THING |
3. | SLEEPWALKING |
4. | LGTW |
5. | SPACE INVADERS |
6. | BALL AND CHAIN |
7. | KEEP MY BABY |
8. | LET IT FLY |
9. | TWIST HER |
10. | STAYING ALIVE |
11. | RIGHT NOW |
EC1. | SMOKE |
EC2. | CRYING |