2019 10.28 mon., 10.29 tue., 10.30 wed.
STACEY KENT
artist STACEY KENT
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
"ジャズ・ソングバード"の異名をとる歌姫ステイシー・ケントが、今年も会心のステージを繰り広げています。会場は熱心なオーディエンスで超満員。快活なナンバーではミュージシャンたちと一丸となって乗り、バラードではシンと静まったままステイシーの繊細な表現に耳を傾けます。ステージ後半ではステイシーと観客によるコール&レスポンスのパートもありました。ぼくは何度も彼女のライヴを見ていますが、客席に向かって"一緒に歌って!"と呼びかける場面には初めて出会いました。もちろんファンは見事に呼吸を合わせ、歌姫も満面の笑顔でした。
曲目は世界を旅するマルチリンガルでもある彼女の個性を反映したものばかり。思いっきりジャジーにアレンジされたシャンソン「Under Paris Skies(パリの空の下)」からステイシーら5人は抜群の一体感を示します。共演はもちろんグレアム・ハーヴィー(ピアノ、フェンダー・ローズ)、ジェレミー・ブラウン(ベース)、ジョシュ・モリソン(ドラムス)、そしてステイシーが"ダンナ"と日本語で紹介したジム・トムリンソンという不動のメンバー。ジムはテナー・サックス、ソプラノ・サックス、フルート、アルト・フルート、パーカッションを持ち替えて愛妻の歌に豊かな彩りを加えます。"しかも彼はバンドの音楽監督でもあり、アレンジャーでもあり、素晴らしい作曲家でもあるの"と、ステイシーはさらに紹介を続けました。
彼女のライフワークのひとつといえるブラジリアン・ナンバーからは、アントニオ・カルロス・ジョビン作「Dindi」、エドゥ・ロボ作でジムとグレアムのハンドクラップも大活躍した「Upa Neguinho」、さらに共演盤を残したマルコス・ヴァーリ(ステイシーとマルコスは先日ブルーノート東京で再会を果たしたばかりです)作「The Face I Love」などを披露。ときおりマイクから離れたまま、ソリストのプレイにあわせてハミングやスキャットも挟むのですが、それもばっちり聴こえてきます。語りかけるような歌声の持ち主というイメージを持っていらっしゃるファンも多いと思いますが、とにかく彼女の声には芯があり、ものすごくよく通るのです。オリジナル曲も「Make It Up」、ノーベル文学賞に輝く親友のカズオ・イシグロが作詞した(作曲はジム・トムリンソン)「Bullet Train」など、"これが聴きたかった"的なものばかり。本日も明日もステイシーたち5人は飛び切りのメニューでオーディエンスを楽しませてくれることでしょう!
(原田 2019 10.28)
Photo by Makoto Ebi
2019 10.28 TUE.
1st | |
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1. | UNDER PARIS SKIES |
2. | MAKE IT UP |
3. | DINDI |
4. | BULLET TRAIN |
5. | SUMMER ME, WINTER ME |
6. | (IN MY) SOLITUDE |
7. | LA RUA MADUREIRA |
8. | UPA, NEGUINHO |
9. | WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE? |
10. | O MORRO NÃO TEM VEZ |
11. | THE FACE I LOVE |
2nd | |
1. | UNDER PARIS SKIES |
2. | MAKE IT UP |
3. | CORCOVADO (QUIET NIGHTS OF QUIET STARS) |
4. | BULLET TRAIN |
5. | A TIME FOR LOVE |
6. | SUMMER ME, WINTER ME |
7. | LES AMOURS PERDUES |
8. | UPA, NEGUINHO |
9. | THE CHANGING LIGHTS |
10. | BEWITCHED, BOTHERED & BEWILDERED |
11. | O MORRO NÃO TEM VEZ |
EC. | SO NICE |