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T-SQUARE featuring PHILIPPE SAISSE ~HORIZON Special Tour~

artist PHILIPPE SAISSE , T-SQUARE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


卓越したミュージシャンシップ、世代や国境を超えた友情と尊敬、すこぶる熱いオーディエンスの反応。それらが見事に一体化して、忘れられないひとときをつくりあげました。ポップ・インストゥルメンタル・バンドの代名詞"T-SQUARE"と、フランス・マルセイユ出身で現在はアメリカを拠点とするキーボード奏者フィリップ・セスによる"HORIZON Special Tour"が、圧倒的な興奮を残して終了しました。L.A.で収録された通算46枚目(!)のアルバム『HORIZON』の世界に、ライヴの臨場感が加わり、厚みやふくらみも増したという感じです。

T-SQUAREは、最新作をL.A.でレコーディングしようと決めていました。しかしその直前にキーボード奏者の河野啓三が体調を崩し、制作をあきらめかけます。そこにサポートを名乗り出たのがフュージョン~スムース・ジャズの大御所であるフィリップ・セスです。彼は'85年に伊東たけしのソロ・アルバム『エル・セブン』のプロデューサーの一人として参加(ユニット"ドッペルギャンガー"の一員として)、T-SQUAREのアルバムでは『Miss You In New York』('95年)でも印象的なプレイを聴かせていました。

フィリップのプレイは、1小節として"ゲスト然"とはしていません。T-SQAUREのサウンドに溶け込み、それでいてバッキングの時はソリストに絶えず刺激を与え、ソロ・パートではしっかりおいしいところを持っていきます。複数のキーボードを鮮やかに使い分け、ヴォコーダーで歌い、鍵盤ハーモニカのブロウでも観客から盛大な拍手を集めました。いつもの立ち位置とは違い、ステージ上手(向かって右側)でプレイする安藤正容もソロにカッティングにライトハンド奏法にと火の出るようなプレイで冴えわたり、伊東たけしとのテーマ・ユニゾンのシンクロ具合はテレパシーの域に達しています。そしてその伊東たけしは前半のセットリストでEWIを吹きまくり、中盤からはアルト・サックス、さらにフルートも披露。フルート、そしてフィリップのアコースティック・ピアノが冴えわたる「Samba de Bantha(河野啓三作曲)」の哀感も、とても印象に残りました。

ステージ前方に立つ重鎮3人の後ろには、田中晋吾(ベース)、坂東慧(ドラムス)と気鋭が並びます。フィリップがこのツアーのために新アレンジを用意してきたという「Zaku Padadu」(ブルーノート東京にも数多く登場しているドラマー、サイモン・フィリップスとの共作)は4/4拍子、6/8拍子、7/8拍子などを取り入れた楽曲ですが、坂東はさらに突如リズムをシャッフル調に変えるなど自由奔放、しかしいかなるときも正確で鋭く太い音色を放ちます。フィリップのソロ中、坂東と田中の音がどんどん小さくなるパートがあったのですが、どんなに抑えても"音の粒"は驚異的に揃っていて、ふたりの持つメリハリに徹底的に感服させられました。

アルバムからの曲はもちろん、フィリップのオリジナル・ナンバーや、ザ・スクエア時代に生まれた人気曲「Miss You」("いかにも'80年代後半"なベース・パターンが今、ひと回りして"新鮮"という印象を受けました)まで楽しめた、盛りだくさんのプログラム。このミラクルな共演セッションが、これからも定期的に行なわれることを願ってやみません。

(原田 2019 11.25)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2019 11.22 FRI.
1st
1. SKY DRIVE
2. Lonesome George
3. HORIZON
4. Kasareria
5. Tsuioku No Machi
6. Miss You
7. Breeze and You
8. Zaku Padadu
9. Love Game
10. Parallel World
 
2nd
1. SKY DRIVE
2. Lonesome George
3. HORIZON
4. Samba de Bantha
5. Some Other Time
6. Night Dreamer
7. Unexpected Lover
8. Zaku Padadu
9. Love Game
10. Parallel World
EC. Breeze and You

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