LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


JIMMY HERRING & THE 5 OF 7 @BLUE NOTE TOKYO

artist JIMMY HERRING

VIDEO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ジョン・マクラフリンとの圧倒的なギター競演アルバム『ライヴ・イン・サンフランシスコ』が大好評のジミー・ヘリング。サザン・ロック、ブルース、フュージョン、ジャズをまたにかけて活躍する"ミュージシャンズ・ミュージシャン"というべき存在です。その彼が自己のユニット"ジミー・ヘリング・アンド・ザ5オブ7"を率いて来日しています。本日から28日まで「コットンクラブ」に登場しますが、ぼくは25日に行なわれた「ブルーノート東京」公演にはせ参じました。'80年代からシーンの第一線に立ち続けるジミーが、リーダーとして日本で演奏するのは今回が初めてとのことです。

いきなり超絶技巧炸裂のアップ・テンポで来るか、それともタメの利いたブルース・ロックで来るか・・・どんな球(楽曲)が来ても打ち返す(楽しんで聴く)意欲たっぷりに会場に向かったのですが、それにしても意表を突かれました。癖のあるハイハットのリズムに、つんのめるようなベース・ライン。ジミーとリック・ローラーのツイン・ギター+マット・スロカムのハモンド・オルガンが合奏したのはなんと、マイルス・デイヴィスの「Black Satin」ではありませんか! '70年代マイルスの往年の問題作にして現在は押しも押されもせぬ名盤『オン・ザ・コーナー』の収録曲で、ぼくの記憶ではマイルスがこれをライヴで演奏した回数は限りなくゼロに近いはずです。彼がエレクトリック・トランペットで吹いていた何ともファニーなメロディを、ジミーたちは実にエネルギッシュに再生しつつ、やがてソロ・パートへ。リックは極太の音でテレキャスターを鳴らし、マットは左手でハモンド、右手でフェンダー・ローズを鳴らします。ジミーは実に細かいビブラートをかけながら、アーミングも駆使。マイルスが自分の演奏にビブラートをかけない主義だったことを考えると、"ザ5オブ7"のアプローチがさらに興味深く感じられました。

いっぽう、ミーターズやオールマン・ブラザーズ・バンドのファンならヨダレを垂らして喜ぶに違いない楽曲が「Check the Hand」。"ザ5オブ7"なりのロック調ファンク表現といったところでしょうか。マットがリード・ヴォーカルをとり、リック(立ち上がってクラヴィネットをワイルドに演奏もしました)とベース奏者のケヴィン・スコットも歌声を聴かせます。ジミーは一言も発せず、ただひたすら弦の上で指を踊らせます。オーラスはインストゥルメンタルの「Scapegoat Blues」。ただ圧倒されるしかないメンバー揃っての高速ユニゾン、4ビートを含む目まぐるしいリズムの変化、ジミーとリックとマットとアドリブ・プレイの冴えと、聴きどころにつぐ聴きどころが続きます。ギター・フリークはもちろん、テクニカルかつグルーヴ感のある音楽に取り組みたいと考えているアマチュア・ミュージシャンの皆さまにも必ず得ることのあるステージではないかと思います。本日から始まる「コットンクラブ」公演、ぜひお楽しみください!
(原田 2019 11.26)


Photo by Great The Kabukicho


●JIMMY HERRING & THE 5 OF 7
2019 11.25 mon. ブルーノート東京
詳細はこちら
2019 11.26 tue., 11.27 wed., 11.28 thu. コットンクラブ
詳細はこちら

SET LIST

2019 11.25 MON.
1st
1. BLACK SATIN
2. THE BIG GALOOT
3. MATT’S FUNK
4. SKETCH BALLAD
5. SOULFUL HANG
6. FORMER LIVES
7. CHECK THE HAND
EC. SCAPEGOAT BLUES
 
2nd
1. THE BIG GALOOT
2. ONE STRUT
3. SKETCH BALLAD
4. 1911
5. TWO GOOD PEOPLE
6. MISS MAYBELLE
7. KALEIDOSCOPE CAROUSEL
EC. SCAPEGOAT BLUES

INDEX