2019 12.16 mon., 12.17 tue., 12.18 wed.
STEVE GADD BAND JAPAN TOUR 2019 featuring DAVID SPINOZZA, KEVIN HAYS, JIMMY JOHNSON & WALT FOWLER
artist STEVE GADD
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
最新作『Steve Gadd Band』がグラミー賞のベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞を獲得。ますます絶好調の人気ユニットが、今年も元気な姿を見せてくれました。スティーヴ・ガッド・バンドの登場です。
共演メンバーはウォルト・フォウラー(フリューゲルホーン、トランペット)、ジミー・ジョンソン(ベース)、ケヴィン・ヘイズ(フェンダー・ローズ、アコースティック・ピアノ、ヴォーカル)、そして前回までのマイケル・ランドウに替わってデヴィッド・スピノザ(ギター)。客席の沸きから察するに、'70年代N.Y.のスタジオ・シーンで数々の名演を残してきた伝説的存在であるスピノザを目当てのお客様も相当いらっしゃったようです。ガッドとの来日は、ぼくの覚えている限り2009年の「東京JAZZ」に出演した"リマージュ"(ほかのメンバーはマイク・マイニエリ、ウォーレン・バーンハート、トニー・レヴィン)以来。黄金のギター・トーンと無駄のない指さばきを、手の届くような距離で視聴できるのは、まさに至福といえましょう。
ライヴの前半は『Steve Gadd Band』のレパートリーと、スピノザのオリジナル曲('78年リリースのアルバム『Spinozza』からの「Doesn't She Know By Now」)で構成されました。スピノザのシングル・ノート(単音)とコード(和音)を織り交ぜたギター・プレイは渋く、とんでもない安定感があります。チョーキングやアーミングを使っても、ランドウのようにワイルドに迫りくるという感じではありません。アルバムではランドウが弾いていた「Timpanogos」や「One Point Five」も、ガラリと異なる雰囲気で楽しませてくれました。ガッドは「One Point Five」の途中、他のメンバーが奏でるリフに絡むようにしてドラム・ソロを聴かせた以外、サポートで凄みを発揮しました。ここぞというところで飛び出す煽り、一打・一踏の重みには改めて酔いしれるしかありません。ほとんどの曲のテーマ・メロディは管楽器とギターの合奏でプレイされましたが、'70年代にフランク・ザッパのバンドにいたフォウラー、やはり'70年代にプラスティック・オノ・バンドのメンバーだったスピノザ('74年に行なわれた伝説の来日公演にも同行しています)が2019年も終わろうとする今、東京で丁々発止を繰り広げている姿に胸が熱くなる音楽ファンは、決してぼくだけではないと思います。
後半ではガッドが'80年代に率いていたバンド"ザ・ガッド・ギャング"のレパートリーも聴かせてくれましたが、もちろんスティーヴ・ガッド・バンドならではのサウンドに作り替えられています。R&B~ソウル・ミュージックへの傾倒をうかがわせるガッド・ギャング時代の重厚な音作りに対し、より軽妙かつレイドバックした感じになっているといえばいいでしょうか。「Way Back Home」ではガッドが4本のブラッシュを使って快演、ジョンソンとスピノザも会心のソロを聴かせてくれましたが、ジョンソンのソロのバックではスピノザがコード・バッキングを担当し、スピノザのソロになると今度はジョンソンが(ベースから放たれているとは信じがたいクリアな高音で)コード・バッキングを始めたのも、このバンドの持つ行き届いたアレンジ力、チームワークの両方に触れる思いがして実に粋でした。オーラスは、やはりガッド・ギャング時代からの定番「Watching The River Flow」。かつてはブルース・フィーリングたっぷりのインストゥルメンタルとして取り上げられていましたが、今回はケヴィン・ヘイズのヴォーカルをフィーチャーして、よりボブ・ディランの原曲に近づいたフォーク・ロック的な仕様です。公演は18日まで続きます。ますます意気軒昂なスティーヴ・ガッド・バンドのライヴ、ぜひごらんください!
(原田 2019 12.17)
Photo by Tsuneo Koga
2019 12.16 MON.
1st | |
---|---|
1. | WHERE’S EARTH |
2. | DOESN’T SHE KNOW BY NOW |
3. | TIMPANOGOS |
4. | RAT RACE |
5. | ONE POINT FIVE |
6. | 007~HIDDEN DRIVE |
7. | WAY BACK HOME |
8. | AUCKLAND BY NUMBERS |
9. | THEM CHANGES |
EC. | WATCHING THE RIVER FLOW |
2nd | |
1. | WHERE’S EARTH |
2. | THE LONG WAY HOME |
3. | TIMPANOGOS |
4. | RAT RACE |
5. | SLY BOOTS |
6. | 007~HIDDEN DRIVE |
7. | GREEN FOAM |
8. | WALK WITH ME |
9. | THEM CHANGES |
EC. | WATCHING THE RIVER FLOW |