2019 12.26 thu., 12.27 fri.
熱帯JAZZ楽団 THE 忘年会LIVE 2019
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ラテン好き、ジャズ好き、フルバン好き、ダンス好き、お祭り好きを熱狂させるエンターテイナーたちが、今年もブルーノート東京を舞台に一大ライヴを繰り広げています。熱帯JAZZ楽団が真冬の東京で送る、通算5度目の"THE 忘年会 LIVE"です。
オープニングは、華やかかつミステリアスに「Mission:Impossible」。フルート+ソプラノ・サックス+ミュート・トランペットのサトル(subtle)なハーモニーから火の出るようなパーカッション・アンサンブルまで、とんでもないメリハリで、いきなり超満員のオーディエンスの心をつかみます。次はなんと、来年生誕100周年を迎える伝説的サックス奏者チャーリー・パーカーの「Yardbird Suite」。モダン・ジャズとラテンの快い融合に、ぼくはティト・プエンテとフィル・ウッズが共演したアルバム『サルサ・ミーツ・ジャズ』を思い出しました(この曲は入っていませんが)。途中では萱生昌樹と藤陵雅裕がアルト・サックスのチェイスを繰り広げ、後半ではパーカーのオリジナル・ヴァージョンに登場しないモチーフを第2テーマのように持ち出して、まるで組曲のように料理していました。
ここで最初のMCタイムとなり、リーダーのカルロス菅野から嬉しい報告がもたらされました。2020年の3月に結成25周年記念のレコーディング(通算18枚目)が行なわれるというのです。詳しくはカルロスのホームページをご覧いただきたいのですが、もう場内は大喜び。そしてこの日は、その新作に収録予定のナンバーを、いち早く聴くことができました。トロンボーン奏者の中路英明がメロディ・メイカーぶりを発揮した「La Verdad」では中路とピアノの森村献が抒情的なソロを繰り広げ、インフルエンザで休養することになったコンガ奏者の岡本健太の代役として急遽ステージに立った荒川"B"琢哉がチャチャチャにアレンジした「Save the Last Dance for Me」ではカルロスがギロやマラカスを操りながらヴォーカリストとしての魅力を発揮しました。
次の曲がまた驚きでした。ジャコ・パストリアスが書いたリリカルなワルツ「Three Views of a Secret」を、なんと"アフロ化"して演奏したのです。多くのアーティストがカヴァーしてきた一曲ですが、ジャコの『ワード・オブ・マウス』や初演となったウェザー・リポートの『ナイト・パッセージ』に入っているヴァージョンがあまりにも名演なので、どうしてもそれに引きずられていた解釈が多いのではないかと個人的には感じています。なのですが、熱帯JAZZ楽団の解釈は「えっ、こんな視点があったんだ」といわずにはいられません。パーカッションの乱打によるイントロが始まるのですが、その抑揚に、あの流れるようなテーマ・メロディが見事に乗っていたのにもハッとさせられました。トロンボーンの青木タイセイが鍵盤ハーモニカで彩りを加え、アンディ・ウルフは「Goodbye Pork Pie Hat」のメロディを長く引用しながら熱狂的なテナー・サックス・ソロを繰り広げます。
ラストはもちろん、必殺の「September」。誰がとりあげても盛り上がること間違いなしの大定番とはいえ、"熱帯の「September」"が放つ熱気は別格。先ごろ還暦を迎えた"突撃隊長"藤陵雅裕以下、メンバーもオーディエンスも一丸となって、カーニバルのようなライヴは熱狂のピークに達しました。"THE 忘年会 LIVE"は本日も開催されます。25周年を前に、さらに意気のあがる人気ラテン・ジャズ・ビッグ・バンドの真髄をお楽しみください!
(原田 2019 12.27)
Photo by Yuka Yamaji
2019 12.26 THU.
1st | |
---|---|
1. | MISSION IMPOSSIBLE |
2. | YARD BIRDS SUITE |
3. | LA VERDAD |
4. | SAVE THE LAST DANCE FOR ME |
5. | THREE VIEWS OF SECRET |
6. | ESO ES! |
7. | GOT TO BE REAL |
EC. | CELEBRATION |
2nd | |
1. | MISSION IMPOSSIBLE |
2. | YARD BIRDS SUITE |
3. | LA VERDAD |
4. | SAVE THE LAST DANCE FOR ME |
5. | THREE VIEWS OF SECRET |
6. | ESO ES! |
7. | GETAWAY |
EC. | SEPTEMBER |